島大サイエンスカフェ「ミジンコの化石が語る地球環境の変遷」開催

公開日 2009年03月27日

 

3月23日(月),第24回島大サイエンスカフェ「古生物学への招待;“ミジンコ”の化石が語る地球環境の変遷」が,くにびきメッセにおいて開催され,約25名が参加しました。

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本講演は,平成20年度本学研究功労賞を受賞した研究について市民にも分かりやすく身近に感じて頂くために,かつて第1期重点研究プロジェクト「健康長寿を創出するための医工農連携プロジェクト」の一環として開催されていた「島大サイエンスカフェ」を引き継ぐ形で開催されたもので,今後も同じように開催を予定しております。

今回の講師の入月俊明准教授(総合理工学部)は、県内で発見された布志名層の軟体動物(貝・タコブネ)、美保関町のワニの足印,鹿島町のタニシ,石見畳ヶ浦のエイの食痕といった様々な化石を紹介し、化石の採取方法、更にはあらゆる水域に棲息するミジンコの化石から紐解ける大昔の日本海,中海や瀬戸内海の環境変遷について語りました。

水中で生活する微小な甲殻類で、広い意味でミジンコと呼ばれる生物は3種類います。入月准教授は、中でも唯一化石として長期間保存されるカイミジンコ(貝形虫)に焦点をあて,約300万年前の地層中のカイミジンコ化石の分析結果から,当時の日本海における氷期と間氷期間の周期的な水温変化について解説しました。更に中海の環境変化について,堤防工事前・工事後・最近における各層からカイミジンコの化石採取した結果、最近では酸素が少ない環境で生息できる種だけが残っていることが判明したことから、人工的に加えられた環境変化によってカイミジンコ種の多様性が減少し、一昔前までは豊穣であった中海の環境が悪化していると指摘しました。

  講演の合間には、化石の実物が回覧され参加者の中には興味深く見入った様子で感心の声を漏らす人もいました。また,講演後の参加者のアンケートでは、環境と密接な関係のある興味深い話で感動した、ミジンコの化石を探す体験でもあれば参加したいなどの意見がありました。

  なお次回サイエンスカフェの開催は,5月を予定しております。

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説明に聞き入る参加者たち

斐伊川放水路で発見された
フジナカガミ(二枚貝)の化石