NPO法人 動物実験の廃止を求める会(JAVA)からの生理学実習における動物実験に関する要望書への対応について

2013年8月23日

平成2586

 

NPO法人 動物実験の廃止を求める会(JAVA)からの

生理学実習における動物実験に関する要望書への対応について

 

 

 2013529日付で、本学学長宛てに、NPO法人 動物実験の廃止を求める会(JAVA)から、本学生理学実習における動物実験に関する要望書が届きました。これを受け、本学では調査を行い、2013613日付で、下記の通り回答文書を郵送しました。

 カエルの麻酔については学会などでも議論の対象であり、定まった国際基準は現時点では存在しておりません。島根大学教員は、今後も引き続き動物福祉に関する国内外の法律、基準、ガイドライン、さらには代替法に関する情報を収集、学習、遵守し、より適切で、望まれる実習教育とするよう努力していく所存です。

 なお、本学の動物実験について も、合わせてご覧ください。

 

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平成25613

 

NPO法人 動物実験の廃止を求める会(JAVA)からの

生理学実習における動物実験に関する要望書への回答

 

     島根大学長 小林祥泰

 

  要望書にて指摘のあった事実について本学で事情聴取を行ったところ、要望書に記載された内容は事実と異なり、通報のあった実験での「ウシガエルへの麻酔が適切に行われなかった」「そのことを教員が学生らに口止めした」ことはないことがわかりましたので、回答いたします。

 

 以下項目毎に、回答いたします。

 1)2012年6月に実施されました本実習の開頭処置は、完全に麻酔が効いた状態でなければできないものである上、さらに、実習時間の都合上、学生が講義室で他の科目の講義を受けている間に、別棟の実験室にて行われました。実習室内にドリルは置いてないので、要望書別紙➀にあるように実習中に「麻酔調整を行わず、暴れるウシガエルの頭骨に無理矢理ドリルで穴を開けていった」事実はありませんでした。

 

 2)「ツボクラリンの使用」については、呼吸停止を伴いやすいことから、本実習では使用されておりませんので、これも事実と異なります。

 

 3)「MS222による麻酔がうまくいかず、カエルがバタバタと暴れ続けた」ことについては、麻酔が覚める場合には意識が回復する前に体動が(その兆候として)見られますが、苦しがって「バタバタと暴れ続けた」ことはありません。この体動について注意深くモニタリングを行い、必要な場合、すみやかに追加の麻酔処置を実施しております。麻酔処置については、現時点で最も苦痛が低く、かつ実習の実施を妨げることがないと判断される方法を用い、適切な麻酔処置を行っております。

 

 4)「ウシガエルを開頭して、脳に電極を刺し、様々な刺激を与え」ですが、「ウシガエルを開頭して、脳に電極を刺し」たことは事実ですが、本実習では発光ダイオードなどの弱い光を用いた視覚刺激のみを行っており、他の刺激は行っておりません。

 

 5)教員が「このことは他言しないように」と学生に圧力をかけたということについても、この言葉の中の「このこと」について、「麻酔の調整は行わず」「暴れるウシガエルの頭骨に無理矢理ドリルで穴を開けていった」ことを指していると思われますが、上記のとおりこのような事実は存在せず、該当の言動はありませんでした。

 

 6)ウシガエルを用いた生理学実習の意義

 本実習の教育的意義を考えた場合、使用する実験動物として最も望ましいのは哺乳類ですが、動物福祉の国際的大原則である3RのうちのひとつであるReplacement(動物を使用しない実験方法への代替)として、 動物実験等の実施に関する基本指針や島根大学動物実験規則等に記載された定義上の実験動物ではないカエル1)を使用しています。また、Reduction(実験動物数の削減)や Refinement(実験方法の改良による苦痛の軽減)に則り、使用するカエルの数を必要最小限の数にとどめ、さらに前述のとおり、カエルの苦痛軽減を目的とした麻酔処置(Refinement)も適切に行っております。

 日本生理学会では「動物実験について」の見解を公表しております2)。動物実験は医学のあらゆる分野で必要、不可欠ですが、とくに生理学においては必須です。生理学は、生命の作動原理を理解することを目的とし、それによって健康と福祉の向上に貢献することを目指しています。さまざまな生命科学の分野がある中で、生理学の特徴は分子・細胞レベルから個体レベルまでの生命現象を総合的に研究対象とし、「生きている」を実時間で研究することにあります。「生きている」過程の研究には動物実験が中心的な役割を果たします。また生理学は心臓や神経など各器官の個別の働きだけでなく、それらが統合されて個体の統一した生命活動を実現させる仕組みを研究します。各器官の働きがどのように調和して個体機能が成り立つかを理解することは、個体の健康・病気を扱う医学・医療の重要な基礎であり、その生理学的研究には動物実験が必須の役割を果たします。

 このため、生理学実習では動物愛護の精神に基づき、適切な管理を行いながら「生きている」を実時間で教育することにより、貴重な教育成果を上げています。

 ご理解をいただきたいと存じます。

 

 

1.    文部科学省. 研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針Q&A

 www.lifescience.mext.go.jp/policies/pdf/an_material010.pdf

2.    日本生理学会. 動物実験について

http://physiology.jp/exec/page/doubutsu_jikken/

 

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