島根大学講演会「民法(債権法)の大改正がやって来る!」を開催しました。

公開日 2016年03月09日

 民法は1898年(明治31年)に施行され、現在に至っています。そのうち、契約や損害賠償等を規律する債権法が、このほど大きく改正されようとしており、改正法案が昨年の第189回国会に提出され、現在衆議院で審議中です。
 今回の民法の大改正は、私たちの生活や企業活動に大きな影響を及ぼします。したがって、今回の大改正によって民法(債権法)の規律がどのように変わるのかということは、法律家のみならず、企業や一般生活者にとっても大いに関心のあるところです。
 そこで、法制審議会民法(債権関係)部会幹事として今回の民法改正法案の成立に大きく貢献してこられた、潮見佳男先生(京都大学大学院法学研究科長・法学部長)を講師にお招きし、2016年3月5日(土)午後2時から5時まで、松江市のくにびきメッセ小ホールにて、島根大学山陰法実務教育研究センター・山陰法科大学院主催、島根県弁護士会共催、鳥取県弁護士会後援による講演会(セミナー)「民法(債権法)の大改正がやって来る!」を開催しました。当日は、島根大学の教員や島根・鳥取両県弁護士会所属の弁護士だけでなく、金融関係、企業、一般市民の方々も多く来場され、約110名の参加者を得て、大盛況となりました。
 潮見先生は、最初に民法改正の動向を紹介された後、改正法案の内容を、今回の改正によって枠組みが大きく変容する領域と、個別項目の中で大きく変容する主なものに分けて整理された(ただし、後者については時間の制約により省略されました。)うえで、今回の改正によって枠組みが大きく変容する領域として、消滅時効制度、法定利率、債務不履行を理由とする損害賠償、解除と危険負担、多数当事者の債権関係、定型約款、契約不適合責任(担保責任)の各領域について、改正法案の内容を説明されました。
 講演の内容はかなり高度で、各制度や民法理論についてのある程度の知識がないと完全に理解することは困難だったかもしれませんが、改正がなされた後、実務においてどのような点に気を付けなければいけないかを具体的に解りやすく示してくださいましたので、理論的であるだけでなく実践的な、たいへん意義深い講演会となりました。
 今回は、潮見先生に民法改正法案の全体について説明していただきましたが、島根大学山陰法実務教育研究センター・山陰法科大学院では、これを出発点として、今後さらに、改正案の個別の論点について理解を深めていくような企画を継続していきたいと考えています。

                    【講演会の様子】
          
朝田良作 島根大学山陰法実務教育研究センター長の挨拶                       潮見佳男先生
          
                        全体の様子                                                             質疑応答の様子                    
  
       熱田雅夫 島根県弁護士会会長の挨拶

 主催:島根大学山陰法実務教育研究センターのHPはこちら