第96回島根大学ミュージアム市民講座「国引きジオパーク・カルチャーサイトを学ぶ」を開催しました。

2017年6月14日

 6月10日(土)、松江スティックビル(松江市白潟本町)にて、第96回島根大学ミュージアム市民講座「国引きジオパーク・カルチャーサイトを学ぶ」を開催しました。この講座は、平成29年度島根大学ミュージアム市民講座第1ステージ「 ”国引きジオパーク”を目指して!」 まつえ市民大学連携講座)の2回目になります。

 今回の講師は、会下和宏先生(島根大学ミュージアム教授・副館長)が務められました。講演では、現在構想中の「国引きジオパーク」内にある歴史・文化に関連するサイトについて紹介されました。

 まず最初に、733年の『出雲国風土記』の中で、古代の島根半島の成り立ちについて語られた「国引き神話」についての解説がありました。

 ヤツカミズオミヅヌノミコトが新羅や越などから島を引っ張ってきたという国引き神話のなかで、五・七調の律文的、祝詞的な語りになっている部分は、当時の農耕民や漁撈民が実際に語り伝えていた可能性があるとのことでした。

 また、山に綱をかけて引き寄せる話や島が漂流する話は、万葉集や日本書紀・古事記などの記述にも垣間見えるそうです。古代人の間に”大地は浮動するもの”という観念が広く共有されていたのかもしれません。

 さらに、太平洋の島々や中国の創世神話のなかには、島を釣り上げたり、大地の下にいる魚を鎖でつなぎ止めたりするなどの話がみられます。これは、魚のエラを切り離すように大地を断ち切って、綱で引き寄せたという「国引き神話」と類似する内容であるとみる神話学の説もあるようです。

 次に、宍道湖・中海周辺の古地形変遷について解説があり、そうした環境の変化に応じて、様々な遺跡が残されたという解説がありました。

 また、大岩・岩陰・洞窟にまつわる神話、カンナビ山に対する信仰、それらに関わる遺跡などの紹介もありました。国引きジオパーク内にある様々な地形に対して、先史・古代から人々は神や霊威の存在を感じ取っていたようです。

 「国引きジオパーク」は、地質学的にきわめて重要な場所であり、壮大で素晴らしい景観を有していることはもちろんですが、さらに、そこを舞台にして先史・古代から人々の豊かな暮しや信仰が展開してきました。古代人のこうした大地に対する眼差しに思いをはせながら、現代人もジオパークを眺めたり、歩いたりしてほしいという提唱がなされて、講座の締めくくりとなりました。

 次回は、7月1日(土)、「松江市内の国引きジオパーク・ジオサイトを学ぶ」(第97回)です。引き続き、よろしくお願い致します。

講座の様子

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