教育学部の理念・目的,教育内容,卒業後の進路

理念・目的

 島根大学教育学部は,平成16年度に全国で初めての「教員養成に特化した専門学部」として新たなスタートを切り,独自の教師教育プログラムを構築してきました。そして平成29年度には,現代的教育課題や地域の教育課題に対応する機能を強化するためのリニューアルを果たしました。

 本学部では,新しい教育課程の理念として次の3つを掲げています。

 • 学び続ける教師
 • 教育実践を省察する教師
 • 社会における未来を創造する教師

 また,私たちはこのような教師となるためには次の力が必要だと考えており,その総体を「教師力」と呼んでいます。

 • 学習者を理解し,身につけた知識や技能で教育を実践する力
 • 相手や目的に応じて適切なコミュニケーションを行う力
 • 必要な情報をさまざまな方法で探したり発信したりして,自己の知識や能力を深める力
 

入学後の教育

本学部の特色について

 本学部では,21世紀の教育を担う学校教師を育成するために,全国に先駆けて独自のカリキュラムを開発するとともに,それを支える教育組織を構築しました。

  1. 「主専攻・副専攻」制の導入や「教科内容構成研究」科目を設置するなど,教科指導能力の向上を図る。
  2. 1000時間の「体験学修プログラム(基礎体験,学校教育体験)」を必修化し,多様な子ども体験に裏打ちされた教育実践力を高める。
  3. 「教師力パワーアップセミナー」「学修ポートフォリオ」などの教育プログラムや評価システムを導入して教師力の向上を図る。
  4. 多様な「体験学修プログラム」を企画・運営する「附属教育支援センター」を整備する。
  5. 優れた現職学校教員を学部教員として招聘し,教育実践力向上をサポートする。  


本学部の専攻と教員免許状の取得について

 本学部には,次の10の主専攻があります。所属する主専攻での学修によって,最低でも1種類の一種免許状の取得が可能です。さらに,副専攻での学修を基に教育職員免許法に定められた単位を修得することで,幼稚園,小学校,中学校・高等学校(各教科),特別支援学校教諭などの免許状を取得することもできます。(ただし,免許状によっては卒業に必要な単位の修得に加え,追加の単位修得を必要とする場合がありますので,履修の際に注意が必要です。)

専攻名 内容 取得可能免許状
小学校教育専攻 小学校教育専攻では,理論をふまえて教育実践を行う熱意ある小学校教員を養成します。小学校教育の課題や役割について考える力,教育課程や各教科の指導法,児童の発達等について知識を習得し,模擬授業を通して授業を構想する力を身につけていきます。現代的な教育課題を理解・発見し,解決のためのディスカッションを取り入れた活動も多く準備しています。これからの時代や社会に対応できる「小学校教育のプロフェッショナル」の養成を目指します。 小学校教諭一種免許状
特別支援教育専攻 特別支援教育専攻では,心身に障がいのある幼児・児童・生徒を対象にした,個人差を配慮した指導の基礎となる知識や指導力を身につけるために,教育学,心理・病理学および教育課程・指導法などの分野にわたる専門的カリキュラムを用意しています。また,「スプーンの会」,「スマイルの会」,「たんぽぽ祭り」など学生による自主的な学習・ボランティア活動も盛んです。卒業生は,知的障がい児,肢体不自由児,病弱児などを対象とした特別支援学校のみならず,盲学校や聾学校,さらには小・中学校の特別支援学級担当の教員として活躍しています。 特別支援学校教諭一種免許状
小学校教諭一種免許状
国語科教育専攻 国語科教育専攻では,中学校・高等学校の国語の教員を養成します。日本語学,日本文学,漢文学,書写・書道,国語科教育学の5分野の教員が所属し,専門の授業や卒業研究などの指導を行っています。また,それぞれの教員の専門に応じて6つのゼミナール(略称「ゼミ」)が開かれており,国語教育コースに所属する学生は,各自の興味や関心にあわせてゼミに参加し,発表や質疑応答などの体験を通して,より専門的な知識や研究方法を実践的に習得します。授業やゼミのほかにも,合宿研修や卒業生を交えての学会活動,各種コンパなどがあり,楽しく意欲的に学んでいきます。 中学校教諭一種免許状(国語)
高等学校教諭一種免許状(国語)
英語科教育専攻 英語科教育専攻では,まず1年時に言葉や文化について広い視点で学び,2年時からは英語教育学・英文学/比較文化学・英語学にわたる専門領域について本格的に学びます。英語教育の理論と実践を学ぶのはもちろんのこと,英米文学の原典をじっくりと読んでその真髄に触れたり,コンピュータを利用した英語研究に取り組んだりします。会話や作文を通しての英語運用能力向上にも力を入れており,その成果を活かして米国の大学に留学する学生も少なくありません。 中学校教諭一種免許状(英語)
高等学校教諭一種免許状(英語)
社会科教育専攻 社会科教育専攻は,グローバルな視野と地域に根ざした実践力を備えた教員を養成することを目的としています。そのために,教職に関する基礎的学力はもちろん,歴史学,地理学,政治学,社会学,社会科教育学等の専門分野に立脚した教科内容の研究能力を育成します。さらに,多文化共生,人権,自然との共生,地域社会と福祉等の現代的な課題をも視野におさめ,実地体験や現地調査を行うことによって,社会科教育や総合学習の教材開発能力等,実践的技能を鍛えます。 中学校教諭一種免許状(社会)
高等学校教諭一種免許状(地理歴史又は公民)
数学科教育専攻 数学科教育専攻は数学の教員を養成します。学習する科目は数学教育,代数学,幾何学,解析学,確率統計,コンピュータです。講義やゼミ,実習形式で学習します。これらを通して,数学の特徴である論理性と数式の操作を身につけること,および,数学についてより深い理解と,問題や課題,教材をみつける目をもち,的確な説明や指導のできる教員の育成をめざします。特に,主専攻の学生は3年からゼミに分かれ,そのゼミの指導教員のもとに,数学・数学教育の一分野を重点的に勉強します。 中学校教諭一種免許状(数学)
高等学校教諭一種免許状(数学)
理科教育専攻 私たち人間の成長において,自然が担っている役割の大きさは測り知れません。 特に,自然の美しさ・不思議さに対する発見や感動は,人々の探究心を支える基盤となっています。不思議なことを解決するためには,観察(特徴を捉える)と実験(自然にはたらきかける)が大切です。
理科教育専攻では,自然が豊かな山陰地域というフィールドを最大限に 活用して教員養成カリキュラムを運営します。中学校の教師を中心に小学校・高等学校の理科教師として必要となる自然科学に関する基礎的知識・技能や方法を身につけるとともに,子ども達の知的好奇心を刺激し,自然を探究する楽しさを味わうことのできる指導法や教材開発についての学習を目指します。
詳細情報は理科教育専攻HomePageでご覧下さい。
中学校教諭一種免許状(理科)
高等学校教諭一種免許状(理科)
保健体育科教育専攻 保健体育科教育専攻では,現代の教育課題に対応しうる保健体育の教員養成を目的としています。そのために,ここでは,保健体育に関する理論的講義,保健体育科教育法,実技実習,指導実習などの専門カリキュラム,体験プログラム及び教育実習などを通して子供と向き合い,理解し,保健体育に関する適切な支援を行える実践的かつ専門的力量を形成していきます。 中学校教諭一種免許状(保健体育)
高等学校教諭一種免許状(保健体育)
音楽科教育専攻 音楽科教育専攻では,声楽,ピアノ,管弦打楽器,作曲,音楽教育学の各分野について,専科として1つの分野を深く追求するとともに,副科として幅広い分野も学ぶことが出来るようにカリキュラムが組まれています。能や和楽器の授業開講に加えて,合唱・合奏等の演習に力を注ぎ,各種演奏会や移動音楽教室等,地域に密着した活動が多いことも大きな特徴の1つです。入学試験では,実技を重視する総合型選抜Iと,学科(大学入学共通テスト)にウェイトの置かれた前期日程の2種類を実施しています。 中学校教諭一種免許状(音楽)
高等学校教諭一種免許状(音楽)
美術科教育専攻 美術科教育専攻では,美術全般にわたる高い専門性と教師としての専門的力量をあわせもち,教育現場の課題に即応できる中学校及び高等学校の美術教師の養成を図ります。そのため,基礎造形能力の修得,美術の専門性の深化,豊富な臨床的教育体験による美術教育理論と実践的授業展開力の強化などをめざした幅広いカリキュラムとワークショップなどの地域との連携を深めるプログラムを用意しています。 中学校教諭一種免許状(美術)
高等学校教諭一種免許状(美術)


免許プログラムについて

 本学部では主専攻・副専攻のほかに自由単位枠を用いた免許取得のための教育課程として「免許プログラム」を設けています。免許プログラムの分野に関する教育職員免許状の取得にあたっては,対応する主専攻等の要件があります。

〇免許プログラムごとの取得可能な教育職員免許状

免許プログラム 取得可能な免許
特別支援免許プログラム 特別支援学校
書道免許プログラム 高等学校(書道)
地理歴史・公民免許プログラム 高等学校(地理歴史),高等学校(公民)
幼稚園免許プログラム 幼稚園


特別プログラムについて

 特別プログラムは教員免許状の取得を目指すものではありませんが,これからの教育現場において教員に求められる能力を高めることを目的とした教育課程です。

特別プログラム 内容
心理学特別プログラム 教員が心理や福祉の専門家と連携しながら学校の機能を強化することが求められています。本プログラムでは,子どもや保護者を特に心理学的観点から理解し,教育実践を通じて教育相談的機能を発揮できる教員の育成を目的としています。
社会教育士(地域教育コーディネーター)特別プログラム 社会教育士はNPOや企業等の多様な主体と連携・協働して,社会全般の学習活動を支援し,地域コミュニティの維持・活性化を担います。本プログラムでは,地域の魅力化に貢献できる「地域教育コーディネーター」の育成を目的としています。修了者は「社会教育士(養成課程)」と称することが出来ます。

 

・専攻決定の時期と方法について

 Ⅰ類に入学した者(一般選抜・総合型選抜II)の主専攻の決定(小学校教育,特別支援教育,国語科教育,英語科教育,社会科教育,数学科教育,理科教育)は,入学後,ガイダンスや進路指導を実施した上で,本人の志望に基づき,1年後期開始前(8月頃)に決定します。
 1専攻の学生数は,概ね15名程度(小学校教育専攻は40名程度)です。なお一般選抜入学者において,これを大幅に上回る希望があった場合にのみ,面接等によって選考を行う場合があります。
 

・入学後の転専攻について

 総合型選抜I「へるん特定型(芸術・スポーツ技能入試)」で入学した者は,入学時,主専攻が決定しており,変更することはできません。I類に入学した者は,I類の中での転専攻が可能です。また,II類に入学した者は,入学時の主専攻を変更することはできません。
 

卒業後の進路

 幼稚園,小・中・高等学校及び特別支援学校の教員,大学院への進学などを目指します。