教育学研究科の理念・目的,入学者受入方針,教育内容等

理念・目的

 急激な社会変化(グローバル化,情報化,少子・高齢化,共同参画等)に対応できる国民の育成は,学校教育を中核とする人材育成システムの成否に大きく依存しており,近未来社会の担い手の育成に携わる専門家としての教員には,より高い教育的資質が求められています。
 一方,学校教育の現状には,学ぶ意欲や学力の低下,不登校,いじめ等の深刻な問題の解決や,発達障がい等の特別な支援を必要とする子どもへの適切な教育など新たな課題が山積しており,こうした課題に対応できる高度な教育的実践力を有する教員の養成,とりわけ大学院レベルの高度な資質形成の実現が強く求められています。
「知識基盤社会」の到来と「科学技術の高度な発展」は,学校教育の内容の拡大と高度化を促進します。こうした変化に対し,保有する知識・技能等を更新したり,新たな知識の習得に職業生活を通じて積極的に対応できる教員の養成が強く求められます。
 とりわけ,過疎と高齢化の進捗が著しい地元山陰地域では,産業界を中心に,「未来の地域社会の担い手である子どもの教育の改善が急務」との認識があり,学校と教員に対する期待は極めて大きいのもがあります。特に山陰地域唯一の教育系大学院を有する島根大学に対しては,「高度な教育的実践力」に加え「高度な科学的知」を基盤として地域の教育課題に取り組み,これを解決に導く力(教育実践的研究力)を有する教員の再教育と計画的養成が強く期待されています。
 島根大学教育学部は,平成16年度に,山陰地域における教員養成基幹学部(教員養成特化型学部)として,改組・創設されました。以来,学部段階における養成教育の改善を実現するため,必要な改革に努力してきました。この新たな教員養成教育を発展的かつ飛躍的に展開し,新たな時代の学校改革を担う人材育成と教育専門職の高度化をめざした養成プログラムを構築するため,従来の教育学研究科を改組して,「教育実践開発専攻」及び「教育内容開発専攻」を設置しました。
 「教育実践開発専攻」は,「学習開発コース」,「臨床心理コース」及び「発達臨床コース」の3コースで構成します。これら3コースは,学部基礎教育段階の3専攻(初等教育開発,心理・臨床,特別支援教育)に接続するものであり,高度な教育的実践力,とりわけ,「学校・学級経営」,「教科の指導力」,「教育相談」,「特別支援教育」等に関する専門的力量形成を主目的とします。さらに,臨床心理士や学校心理士の資格に関する科目群の学修を通して,心理教育的援助にかかわる高度の専門的能力の育成を目指しています。
 「教育内容開発専攻」は,学部基礎教育段階の教育課程を踏まえ,中等教育段階における各教科の教育課題(「言語」,「社会認識」,「数理」,「自然科学の基礎」,「生活科学」,「健康・体育」,「芸術」)に対応する7コースで構成します。「専門諸科学」の高度なレベルでの習得を基礎に,学校教育における教育内容学の高度な理解,実践的検証を通じて,各教科の構成原理,教材開発分野の資質形成を進め,主として中等教育教員としての高度な専門性を獲得させるものです。
 両専攻の共通プログラムとして,学部段階での「教育的実践力」を基盤として,これを高度な「教育実践的研究力」に発展させることを目的とした教育プログラムが構築されていることが大きな特色です。

 

入学者受入方針

 教育学研究科は新たな時代の学校教育を担う人材育成と教育専門職の高度化をめざして平成20年度に改組を行い,「教育実践開発専攻」及び「教育内容開発専攻」の2専攻を新設しました。各専攻ではそれぞれ次のような人を求めます。


教育実践開発専攻

  •  学部段階で初等教育,特別支援教育に関する基礎的知識・技能や教育実践力を身につけた人で,教職に関する高度な専門的知識・技能と教育実践研究力を身につけようと考える人。
  •  高度な臨床心理学的知識・技能を身につけ,スクールカウンセラー等として活躍したいと考える人。

教育内容開発専攻

  •  学部段階で中等教育に関する基礎的知識・技能や教育実践力を身につけた人で,教科に関する高度な専門的知識・技能と教育実践研究力を身につけようと考える人。

現職教員用「1年短期履修コース」
 上記2専攻には、現職教員を対象とした「1年短期履修コース」をそれぞれ新設しました。このコースでは次のような人を求めます。

  •  現職教員で,自らの教員としての資質向上・専門性の高度化等に強い意欲を持ち,特定の分野について1年にわたる長期の研修機会を得たいと考える人。
  •  任命権者等が,高度な専門性を身につけることによって将来優れたスクールリーダーとして成長することを強く期待する人。

 

教育内容等

研究科の教育・研究上の特色

 

授業科目の特色

  1.  授業科目は,専攻共通科目,専門科目,課題研究に分かれています。
  2.  現職教員を対象とした「1年短期履修コース」では,専用の共通開講科目として「学校教育研究」(4単位)及び「教育課程編成研究」(2単位)を開設し,学校教育の具体的,実践的課題題を追究する高度な教育実践・研究力を養成します。
  3.   「教育実践開発専攻」においては,専攻共通科目として,「教育実践開発研究」(2単位),「情報リテラシー開発演習」(2単位),「学校教育実践研究(教育実習)」(4単位)を開講します。これらを通して,学校教育の組織原理と教師の専門職性に関する理解,教師として不可欠なコンピュータリテラシー,高度な専門性に立脚しながら学校教育の具体的・実践的課題を追及する教育実践・研究力を養成します。
  4.  教育内容開発専攻」においては,専攻共通科目として,「情報リテラシー開発演習」に加えて,「教育内容開発研究」(2単位)(新卒者用),「学校教育実践研究(教育実習)」(4単位)を開設します。これらを通して,教育課程編成の原理と具体的事例研究の方法と実際に関する理解,教師として不可欠なコンピュータリテラシー,高度な専門性に立脚しながら学校教育の具体的・実践的課題を追究する教育実践・研究力を養成します。各コース専門科目の特色として,学校教育の各教科を基礎に中等各教科について「内容開発研究Ⅰ・Ⅱ」(4単位)を開講します。
  5.  すべてのコースにおいて「課題研究」(8単位)を開講し在学期間を通じて,少人数のゼミ指導を実施します。
  6.  専攻必修科目等について,「理論と実践の融合」の観点から,複数教員による協同開講方式を採用し,多様な専門の立場を踏まえた多面的指導方法及び授業改善を実現します。

 

社会人の入学

  1.  現職教員の資質向上に資するため,「大学院設置基準第3条第3項」の規定に基づき「1年短期履修コース」を設置します。本コースは,地元山陰地域の両県教育委員会の要請を受け,教員としての実務経験を有する者(概ね,教職経験3年以上でありかつ任命権者の推薦等による)に対し,通常の2年課程に替わる特別教育コースとして設置するものであり,その教育にあたっては,「一部科目の夜間,長期休業期間を利用した開講」,「修士論文に代わる特別課題研究の提出」,「入学前教育の実施」等,教育課程・教育方法等に特段の措置を講じて,現職教員が自ら求める専門職性向上に寄与するものです。
  2.  通常の2年課程においても,社会人の受け入れを推進するために,「大学院設置基準第14条」(修士課程の教育方法の特例)の適用を行っています。具体的には,第1年次は在職先を離れて大学院での学業に専念し,修士課程修了に必要な30単位のうち,26単位程度を履修します。第2年次には在職先へ復帰し,週1回以上通学し残りの単位を履修するとともに,修士論文(または特定の課題についての研究)の指導を受けます。

 

 専攻・コースの概要

  1. 教育実践開発専攻
    ・学習開発コース
     教育学及び教科教育学を基礎に,学校教育における子ども理解,教育実践の諸課題,教育課程・方法等に関する高度な理解,実践的検証を通して,学校教育の理解,教授方法等の分野の資質形成を進め,主として初等教育教員としての高度な専門性を獲得します。

    ・臨床心理コース
     臨床心理士資格認定試験の受験資格取得に必要な科目群の学修を通して,臨床心理学の専門的な理解を深めることを目指します。スクールカウンセラーをはじめ,医療,司法の場で働く臨床心理士としての高度な専門性と実践力を獲得します。

    ・発達臨床コース
     特別支援教育専修免許科目群を中心に,心理学(発達,教育)科目を開講し,特別支援学校教員免許(専修),特別支援教育コーディネーター及び学校心理士資格に関する科目群の学修を通して,心理教育的援助の高度な専門性を獲得します。
     
  2.  教育内容開発専攻
    ・言語系教育コース(国語教育分野)
     国語学,国文学,漢文学,書写書道の深い学修を踏まえ,学校教育における国語科教育内容学の高度な理解,実践的検証を通じて,国語科の構成原理,教材開発分野の資質形成を進め,主として中等教育教員としての高度な専門性を獲得します。

    ・言語系教育コース(英語教育分野)
     英語学,英米文学,異文化理解の深い学修を踏まえ,学校教育における英語科教育内容学の高度な理解,実践的検証を通じて,英語科の構成原理,教材開発分野の資質形成を進め,主として中等教育教員としての高度な専門性を獲得します。

    ・社会系教育コース
     歴史・地理・公民に関わる専門諸分野における深い学修を踏まえ,学校教育における社会科教育内容学の高度な理解,実践的検証を通じて,社会科の構成原理,教材開発分野の資質形成を進め,主として中等教育教員としての高度な専門性を獲得します。

    ・数理系教育コース
     代数学,幾何学,解析学,応用数学の深い学修を踏まえ,学校教育における数学科教育内容学の高度な理解,実践的検証を通じて,数学科の構成原理,教材開発分野の資質形成を進め,主として中等教育教員としての高度な専門性を獲得します。

    ・自然系教育コース
     物理学,化学,生物学,地学の深い学修を踏まえ,学校教育における理科教育内容学の高度な理解,実践的検証を通じて,理科の構成原理,教材開発分野の資質形成を進め,主として中等教育教員としての高度な専門性を獲得します。

    ・生活系教育コース(技術教育分野)
     電気,機械,木材加工の深い学修を踏まえ,学校教育における技術科教育内容学の高度な理解,実践的検証を通じて,技術科の構成原理,教材開発分野の資質形成を進め,主として中等教育教員としての高度な専門性を獲得します。

    ・生活系教育コース(家政教育分野)
     家庭経営学,被服学,食物学,住居学,保育学の深い学修を踏まえ,学校教育における家庭科教育内容学の高度な理解,実践的検証を通じて,家庭科の構成原理,教材開発分野の資質形成を進め,主として中等教育教員としての高度な専門性を獲得します。

    ・健康系教育コース
     体育学,運動学,学校保健の深い学修を踏まえ,学校教育における保健体育科教育内容学の高度な理解,実践的検証を通じて,保健体育科の構成原理,教材開発分野の資質形成を進め,主として中等教育教員としての高度な専門性を獲得します。

    ・芸術系教育コース(音楽教育分野)
     声楽,器楽,指揮法,作曲,音楽学の深い学修を踏まえ,学校教育における音楽科教育内容学の高度な理解,実践的検証を通じて,音楽科の構成原理,教材開発分野の資質形成を進め,主として中等教育教員としての高度な専門性を獲得します。

    ・芸術系教育コース(美術教育分野)
     絵画,彫刻,デザイン,工芸,美術史・美術理論の深い学修を踏まえ,学校教育における美術科教育内容学の高度な理解,実践的検証を通じて,美術科の構成原理,教材開発分野の資質形成を進め,主として中等教育教員としての高度な専門性を獲得します。