法務研究科の理念・目的,入学者受入方針,教育内容等

理念・目的

 国際社会の発展に貢献し,地域社会に深く根ざした法曹の養成
 国際化にも対応できる高度の法的思考力と知識を有する優れた法的知性を備えるとともに,人間的魅力に富み,ライフワークとして山陰をはじめとする地域の法化社会化に尽力する専門的ジェネラリストとしての法曹を養成することを目的とします。

 

入学者受入方針

 社会事象とその諸問題に強い関心を持ち,社会の中で法曹として求められる役割を常に主体的に考え行動し,そのために必要な能力の研鑽に努めるとともに,本研究科の教育理念に共感する人を受け入れます。

 

教育内容等

 本研究科では、地域社会の人々が法曹に期待している役割を積極的に果たすことのできる人材を養成するために、高い人権感覚と職業倫理観を持ち(法曹に必要とされるマインド)、適切に地域課題に取り組むことのできる法律専門知識・技能(法曹に必要とされるスキル)を合わせ持った法曹を養成することを目的としています(地域に精通し、地域で活躍する法曹の養成)。その目的を実現するために、基本的にソクラテス・メソッドによる双方向・多方向の授業形態を通して、法曹に必要とされるスキルとマインドを徹底的に鍛え上げるという教育方法を採用しています。
 もちろん、特に社会人・法学未修者に対しては、一定の学修段階に応じて、徐々にそのような授業形態に慣れていく必要があるため、1年次の法律基本科目の授業形態は講義方式を基本とし、必要に応じて対話方式を採り入れた授業を行うなど、基礎的な学修から応用・実践的な学修へとスムーズに3年間の学修ができるようカリキュラムの工夫をしています。
 

基本的な授業形態

  1. 講義形式
     通常の講義形式による授業ですが、各授業科目の具体的な目的と内容に基づき、担当教員の判断により他の授業形態をも一部取り入れた授業を行います。1年次の法律基本科目、基礎法学・隣接科目群、展開・先端科目群に属する科目は基本的に講義形式の授業を行います。
  2. 双方向・多方向型(ソクラテス・メソッド)
     学生の予習を前提として、問題分析力と法的思考力の鍛錬に重点を置き問答形式により授業を進めていく形態です。
  3. 事例問題を用いた双方向・多方向型(ソクラテス・メソッド)
     この授業形態は基本的にソクラテス・メソッドですが、具体的な事例問題を取り上げ、その問題を解決しうる法的思考力と応用力を養うことを目的とします。2年次の法律基本科目である公法総合Ⅰなど(「総合科目」という。)から段階的にこの双方向・多方向型の授業を行っていきます。
  4. 実習
     授業で学んだ基本的な法律知識と法的思考力・応用力を実際の現場(あるいはそれに近いシミュレーション)において試行する作業を中心とした授業形態です。具体的科目としては、「ローヤリング」「リーガル・クリニック」「エクスターンシップ」などの実務基礎科目の一部がこの形態です。
  5. ロールプレイ
     法律実務の実際に即した役割分担にしたがい、それぞれの立場での法律文書作成・訴訟準備等をシミュレーションにより行うことを通して、実際的な法的技能を修得することを目的としています。具体的科目としては、「民事訴訟実務の基礎」「刑事訴訟実務の基礎」「民刑事模擬裁判」などの実務基礎科目の一部がこの形態です。

 

社会人・法学未修者を配慮した教育体制
 法科大学院は、多様な背景をもった人材から法曹を養成することを使命としています。大学までに法律を専門に学ばなかった人や法学系学部を卒業して法律からしばらく離れていた社会人も積極的に受け入れて、3年間じっくり鍛え上げて司法試験の受験資格を与えるのが法科大学院です。
 山陰法科大学院では、設立当初より、社会人、法学未修者を広く受入れています。そして、これまで山陰法科大学院では16名の司法試験合格者を出しましたが、そのうち非法学系出身者と社会人が10名を占めています。合格者の中にはすでに地元山陰で弁護士として活躍している修了生もいます。
 本研究科では、社会人・未修者のかたができるだけ早く授業に取り組むことができるように、入学前に「法学入門講座」を開催し、4月の授業開始に先立ち導入教育期間を設け、法のシステムや裁判制度の基本的な仕組み、法の役割・機能、法的思考方法の特徴やそれに必要とされる能力などについて学習しています。
 また、公法、民事法、刑事法の各分野について「入門科目」を設置しています。これらの科目を受講することにより、各分野の基礎的な知識や法的思考力(考える力)を身に付け、講義を中心とした基本科目から演習形式の総合科目へ学習をスムーズに積み上げて行けるよう配慮しています。

 

地域と手を携えた法曹養成教育

 「地域に深く根ざした法曹」を養成するため、本研究科では「地域と手を携えた法曹養成教育」を行っています。その取り組みの一例をご紹介します。

  1. 地域でのフィールド・ワークを取り入れた授業科目「地域と法」
     「地域と法」という授業では、山陰の地域社会において生起する様々な法的問題を取り上げて講義すると同時に、山陰地域の関係諸機関等の協力の下で行うフィールド・ワーク(実地授業)を通して、学生自らの問題意識を形成し、より具体的な問題状況を掘り起こし、その解決に向けての法的思考と法的アプローチを以って対処する基礎的な力を修得することを目的としています。
  2. 島根・鳥取両県弁護士会と手を携えた授業科目「エクスターンシップ」
     この授業は、学生が地元の法律事務所において法律実務の実際を体験することにより、実務感覚を養うとともに、現実の弁護士等の働き振りを直接観察することにより、将来自らが法曹となることの意義を自覚させ、法科大学院における教育効果の向上を図ることを目的としています。
     島根・鳥取両県弁護士会では、本研究科の学生を積極的に受入れていただいており、本研究科は、この授業を通して、教育理念である「地域に深く根ざした法曹」の養成を実現すべく、地元弁護士会と手を携えたきめ細かい教育を行っています。
  3. 島根県消費者センターと手を携えた法曹養成教育
     本研究科では、毎年、島根県消費者センターの委託事業として県内各地において「消費者のための法教育と巡回法律相談」を行っています。
     この事業には、リーガル・クリニックの受講生を中心に学生たちが参加しており、地域の生の法律問題に触れることができ、基本的な法的知識の確認と修得、そして勉学意欲(法曹へのモチベーション)を高めることができる貴重な機会となっています。
     これらの授業等に積極的に参加してきた修了生の何名かは、現在、地元で法曹として活躍し始めており、その成果が着実に現れてきています

 

既修者コースの設置(平成25年度新設)

 本研究科では、法学につき十分な知識を有していると認められる既修者のかたのため、2年(短縮)コースを設けました。
 本年度に実施する入試(平成25年度入試)から募集します。法学既修者の選考にあたっては、法律科目試験(論述試験)を実施します。試験科目は、憲法、民事法(民法(担保物権、親族・相続を除く)、民事訴訟法)、刑事法(刑法(総論)、刑事訴訟法)です。
 法学既修者入試の合格者は、3年コースにおける1年次配当の必修科目のうち13科目32単位が履修されたものとみなされ、同コースの2年次配当からの履修が認められ、これにより在学期間を短縮し、2年間で修了することが可能となります。
 既修者入試等について、詳しくは募集要項をご覧ください。