医学部長メッセージ

医学部長 鬼形 和道 皆さん、島根大学医学部のHPにようこそいらっしゃいました。今日も、ここ出雲で爽やかな朝を迎えました。本学部のある出雲市は北に日本海が、そして南に中国山地がそびえます。前夜に天が雨を山地に注いだ晴れた朝には、幾重にも重なる山々の間に多くの雲が沸き立ちます。まさに、雲出ずる国です。この季節(旧暦の10月)、全国から八百万の神々が出雲に集まり、人々の「縁」を決めるのだそうです。他の地域では神無月ですが、出雲の国では神在月と呼びます。

 島根大学医学部は、1976年(昭和51年)に島根医科大学として開学以来、本年の3月までに4,798名の卒業生を社会に送り出してまいりました。島根県を中心に地域医療に貢献している者から大学教員として教育・診療・研究に献身している者まで国内外の多岐にわたり活躍しています。そして、2003年(平成15年)に島根大学と統合し、新たに島根大学医学部となりました。今年、島根大学は開学70周年、そして医学部附属病院は開院40周年を迎えました。

 医学教育(2016年)および看護学教育(2017年)モデルコアカリキュラムが改定となり、医師あるいは看護職として求められる基本的な資質・能力として「知識」や「問題(課題)対応能力」とともに「コミュニケーション能力」や「プロフェッショナリズム(人間性・卓越性・利他主義・説明責任」が必須となっています。同時に、「リサーチマインドの涵養」も重要性を増しています。現場では、行動科学やプロフェッショナリズムを立ての糸とした教育が開始され、一方で文理融合研究や地域に根差した膵がんの研究、さらに島根大学発ベンチャーも立ち上がりグローバルに通用する研究を学内外へ発信しています。

 本学部のミッションは、「プロフェッショナリズムを備え、地域だけでなく国際的視野を備えた医療人の育成」、そして「地域社会に還元できる基礎研究及び臨床研究の推進」です。医学部のHPに掲げられた「人を見つめ 地域を見つめ 未来につなげる」を信条として、ミッションを遂行いたします。その際、“3つのFD“を装備したいと思います。すなわち、Functional diversity;創造性ある組織の構築 ~もう一工夫の取組み~、Functional delivery;人を大切に育てる ~届く言葉を大切にする~、そしてFunctional development;自問自答する ~次の一手を考える~です。

 大学は、学生とともに教職員の成長する場です。学部長就任のあいさつで述べました通り、「おごらず おこらず おどろかず(3つのO)」を実践いたします。「俯瞰」と「さじ加減」を忘れずに、同じ志を持つ多くの仲間を募り、知性的な組織を作ってまいります。
 

 2019年(令和元年) 神在月