医学系研究科の理念・目的,教育内容等

医科学専攻修士課程

理念・目的

  医科学専攻修士課程は, 医学部医学科以外出身の者に, 総合的・学際的サイエンスとしての医科学の視点を付与し, 本学及び地域における独自の研究・教育の実績を, 教育・訓練を通じて学生に還元することによって, 老年・若年人口対策, 医食同源等の分野に関わる研究・教育,社会事業・企業活動などに, 医科学の基礎と専門知識を持って携わることのできる人材の育成を目的とします。

 

教育内容等

 医科学専攻修士課程は,教育・研究領域として次の4コースを設定しています。

 

  1. 総合医科学コース
     多様な背景を持つ学生に,医科学の視点から教育することによって,老年・若年人口対策, 医食同源等の分野にかかわる研究・教育,社会事業・企業活動などに,医科学の基礎と専門知識を持って携わることのできる人材を育成します。
     
  2. がん専門薬剤師養成コース
     薬剤師免許を有する者(薬剤師免許取得見込みの者を含む。) を対象とし,課程修了後にがん薬物療法認定薬剤師及びがん専門薬剤師の認定申請資格が取得可能な人材を養成します。
     
  3. 地域医療支援コーディネータ養成コース
     県及び各市町村において地域の医師定着支援と地域で働く医師・看護師等の支援を業務とする「地域医療支援コーディネータ」を養成します。
     
  4. 医療シミュレータ教育指導者養成コース
     医療系大学及び医療機関に設置されたスキルアップセンターやスキルラボにおいて医療シミュレータ教育に従事することや,医療系職種の養成機関において臨床実習前のシミュレータ教育に従事することができる「医療シミュレータ教育指導者」を養成します。
     

 

医科学専攻博士課程

理念・目的

 医科学専攻博士課程は,医学の専門領域及び関連領域で自立して独創的研究活動を行うに足る高度の研究能力,豊かな学識と人間性を備えた教育,研究の指導的役割を担う人材の育成を図るとともに,医療に求められる高度な専門知識・技術及び研究能力を備えた臨床医の育成を目的とします。

 

教育内容等

 医科学の分野における世界に通用する医学研究者を養成するとともに,研究マインドを併せ持った優れた臨床医を養成することが,社会的に強く求められるようになってきている。本課程は,これらの社会からの要請に応えるため,次の4つのコースを設定し,より自由な科目選択が可能な教育課程の編成を基本方針としています。

 

  1. 研究者育成コース
     医学の専門領域で自立して独創的研究活動を行うに足る高度の研究能力,豊かな学識と人間性を備えた教育,研究の指導的役割を担う人材を育成することを目的とし,幅広い概念,専門的知識ならびに方法論を含めた研究遂行能力を修得します。
     
  2. 高度臨床医育成コース
     高度臨床医育成コースは,臨床と研究をバランスよく経験させ,双方の能力を兼ね備えた高度臨床医を育成するもので,認定医,専門医の取得を目的とし,病態生理,診断,治療,予防,手術技法,医療統計など高度な臨床医学の知識,技能,倫理観および臨床研究の遂行能力を修得します。
     
  3. がん専門医療人育成コース
     ゲノム医療の推進と,ライフステージに応じたがん対策を推進する人材を育成します。がん患者に,適正な機能評価やプレシジョン医療を指向した臨床研究を企画,推進し,がん診療を牽引することが可能な高度がん医療人材を育成します。ゲノム医療・多施設臨床研究グループをリードし,がん臨床研究および診療の質の向上を支えます。ライフステージに応じたさまざまな課題に対して医療チームのリーダーとしてがん診療を牽引します。県内の病院間の診療連携を強化するためのがん診療連携コーディネーターとしてがん医療の均てん化に貢献するとともに男女共同参画を推進します。各基盤領域の専門医,サブスペシャリティー領域の専門医,がん治療認定医資格を取得します。海外の留学生医師の受け入れを可とします(海外医師は専門医,がん治療認定医資格の取得は不要)。ゲノム医療に必要ながん診療の基本,治療の適応と禁忌を知り,診療ネットワークの構築について学びます。最新のプレシジョン医療を習得し,トランスレーショナルリサーチ,臨床試験についての演習を含む教育内容とします。
     
  4. 総合診療・地域医療コース
     総合診療・地域医療コースは,総合診療医としての高度な専門知識・技能を有するとともに国際的視野とリサーチマインドを備え,将来,総合診療あるいは地域医療の担い手を指導・養成することができるリーダー(指導者)を育成することを目的としています。総合診療あるいは地域医療に関連する多くの医療・医学の分野より個別に研究テーマを設定して研究を行い,学位取得を目指します。生活習慣病や加齢と動脈硬化,がん,認知症など地域の医療に密接に関連する疾患についての基礎・臨床研究や疫学研究,または,本学の研究推進プロジェクトである疾病予知予防研究や生活習慣病等コホート研究と連携した研究とともに,総合診療・地域医療における課題や問題点,日常のケアに関連する臨床研究など,希望に応じたテーマについて研究を行います。
     

 

看護学専攻博士前期課程

理念・目的

 本学看護学専攻修士課程は,豊かな人間性と幅広い視野を基盤として科学的な視点から看護学の学識を教授研究し,卓越した看護実践能力と創造的な研究能力を持つ人材の育成を目的とします。

 

教育内容等

 看護学専攻は,高度な実践者・教育者・研究者の育成のいずれにも対応できるよう,看護援助学コース,看護管理学コース,地域・在宅看護学コース,母子看護学コース,がん・成人看護学コース,高齢者看護学コース,がん看護CNSコース,老人看護CNSコース,助産学コースの9コースを設置し,専門必修科目・専門選択科目・基盤科目の三つの柱で教育課程を構成しています。

 

  1. 看護援助学コース
     現代および将来を見据えたヘルスケアシステムにおいて質の高い看護援助を提供するために,看護援助の理論と科学的思考力を獲得し,看護援助に関する現象や看護技術の検証と新たな看護援助の開発を目指した教育・研究を行います。
     
  2. 看護管理学コース
     社会のヘルス・ニーズに対応して,最良の看護を組織的に提供し,計画・組織化・支持・調整・統制といった諸活動を展開するために必要な看護管理の理論と方法を修得し,看護管理実践における看護管理技術の検証と更なる開発をめざして教育・研究を行います。※このコースを修了して修士号を取得し,かつ,日本看護協会認定看護管理者規則第21条に定める実務経験を有する者は,認定看護管理者認定審査の受験資格を得ることができます。
     
  3. 地域・在宅看護学コース
     地域の地理的,文化的,社会的環境と密接に関係する人々の健康的な生活を維持するため,個人や家族,学校,職域及び集団を対象として,保健・医療・福祉の効果的・効率的連携を可能にする看護と方策について教育・研究を行います。また,一般住民や在宅療養者の生活の質向上に向けて,専門的看護の実践における教育・研究を行います。
     
  4. 母子看護学コース
     ライフサイクルと生涯発達の視点に立って,母子関係や家族関係に関連する理論を学び,様々な健康状態にある小児の特性,妊産婦や子どもの健康問題に関する最新の知見や母子保健施策を通して,母子や家族の健全な発達を支援する方策について教育・研究を行います
     
  5.  がん・成人看護学コース
     成人期を生きる視点から,生命,生活および健康にとって重大な課題であるがんや今日的な健康課題・健康障害について理解を深め,社会に生き世代をつなぐ成人期にある人への看護に関連した理論と方法を学び,患者・家族のQOL向上をめざした看護実践を探求する教育・研究を行います。
     
  6.  高齢者看護学コース
     加齢による変化や疾病・障害を持つ高齢者の健康上の問題と日常生活との関係をアセスメントし,健康的な老年期の生活を維持できる看護の理論と方法について学び,高齢者や家族へのケアをコーディネートすることのできるマネジメント能力やケア開発のための教育・研究を行います。
     
  7. がん看護CNSコース
     卓越したがん看護実践に向けて,高度で複雑な課題を解決するための看護援助諸理論を修得するとともに専門看護師としての機能と役割を開発する諸理論や方法を学びます。そして,キュアとケアを統合し,がん患者とその家族のQOL向上を目指した高度ながん看護実践能力・適切な倫理的判断力・研究的視点を備えた看護専門職者の育成を目指します。
    本コースでは,必須科目に加えて,専門看護師の各分野に対応する領域の科目,ならびに指定の科目を履修することにより,博士前期課程修了後にがん看護専門看護師認定試験受験につながる単位を取得できます。
     
  8.  老人看護CNSコース
     老人看護分野において,総合的な判断力と組織的な問題解決力を持って活動し,老人看護実践の発展に貢献できる専門看護師(CNS)の育成を目指します。
     
  9. 助産学コース
     自立して正常な妊娠・分娩・産褥期のケアができる能力と妊娠期から分娩期,子育て期まで継続的に母子を支援できる能力を身につけ,院内助産システムや助産院で活躍できる助産診断力・実践力をもつ助産師を育成します。また,臨床現場の問題・課題を解決に導く研究力を培い,より質の高い助産ケアを探究・創造できる助産師の育成を目指します。
     

 

看護学専攻博士後期課程

理念・目的

 課程に設置する「超高齢看護学」分野は、様々な健康課題を抱える人々への看護ケアを探究する超高齢看護開発と、これらの成果を人々が享受するための仕組みづくりに資する安全ケアシステム開発とが相互に関連し、バランスよく発展することで、世界に類を見ないわが国の超高齢社会が直面している様々な健康課題の解決に貢献するものです。

 「超高齢看護学」を構築するための高水準で独創的な看護学研究を自立して実施し、看護の質向上に貢献することによって、人々が豊かな人生を享受できる超高齢社会の実現に寄与することのできる教育研究者を養成します。

  

教育内容等

 島根県で初の看護学系博士後期課程として、日本初、世界初の「超高齢看護学」分野に特化した大学院です。

 世界に類を見ない超高齢地域である島根県の健康問題への対応の実践知を基盤として、超高齢社会におけるヘルスケアシステム全体を射程に入れ、高齢者看護学はもとより、慢性看護学、地域看護学、看護管理学をはじめとする全ての看護学専門分野の知を結集し、更には、医学、生物学、薬学、理学、心理学、社会学等の看護学の基盤を支える学問体系と連動し、その知見を、看護現象を推論するために活用しつつ、これまでの看護学の枠組みを発展させて新たな看護学の知を創生して、世界をリードしようとするものです。