広報しまだい59号
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大規模震災から考える看護看護師としてできることは、治療に寄り添うことだけではない感じますね。新しいことにチャレンジできる環境、学べる機会が多いことは大学病院ならではの良さだと思います」。 谷口さんは現在、口腔外科・皮膚科の病棟で勤務しています。仕事も一通りこなし、管理や指導なども少しずつ任される立場です。「後輩には、業務やフローを教えるだけでなく、こんな仕事もあるんだなあと視野を広げられるように意識して働いているところもあります。決してやらされているのではなく、なりたい自分を意識してもらえるように」と、ほほ笑みながら話す谷口さんは、自身もここで見つけた新たな夢に向かって頑張っています。 2024年1月、自ら志願しDMAT(災害派遣医療チーム)として石川県の地域医療に携わった谷口さん。それは珠洲市の地域の人たちが暮らすための地域医療の支援でした。「家が崩壊し、道がくずれ、非日常の中で暮らす人々は本当に大変だと思います。DMATとして派遣された5日間、一生懸命サポートさせていただきましたが、力になれたのかなと思うこともありました。それでも感謝の言葉や、頼れる人がいることで救われた人がいると聞くと行ってよかったと思います。また私自身、この経験は今後の看護師人生においての貴重な経験になったことは間違いありません」。被災地の人がまた地域で過ごせるようにすること、医療面での充実を図ることも大切な地域医療だと実感したそうです。 さまざまな患者さんと出会うなかで、患者さんがこのような状態にならないためにできることがあるのではないか、と思うようになったそうです。「皮膚科病棟には、褥瘡(じょくそう)や床ずれがひどくなり入院する人も多くいます。その中で『悪化する前に予防できれば、入院せずにすんだのではないか』。また、せん妄を引き起こし転倒により骨折して寝たきりになった人には『せん妄の対策や予防ができれば、骨折することなく、この人の残りの人生は大きく変わったのではない※特定行為研修・・・看護師が特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能の向上を図るための研修で、研修を修了すると、特定行為を手順書により実施することが可能となります。か。本人が思い描いていた人生を過ごすことができたのではないか』ということを日々強く思うようになり、一般看護の業務の枠を超えて学びたいという意識が強くなりました」。谷口さんはすでに※特定行為研修を受け看護師としてスキルアップしながら「病院ではもちろん頼ってほしいですが、患者さんにとっての最良は、多くの場合が入院ではなく自宅で過ごすこと。そのために看護師としてもっとできることがある」と、訪問看護など時代とニーズに合った看護師としての貢献の仕方を探求しています。12SHIMADAI国立大学法人島根大学医学部附属病院島根県出雲市塩冶町89-1https://www.med.shimane-u.ac.jp/hospital/島根県の大学病院として、また地域災害拠点病院として地域医療の根幹となり医療を支える。病床数600床。GRADUATE OF SHIMANE UNIVERSITY
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