広報しまだい59号
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材料研究の面白さとその先にある未来の創造--島根大学では2023年4月に、工学系の専門人材を育成する「材料エネルギー学部」を開設しました。さらに今年1月には国内外の研究者や企業と共同研究開発を担い、大学の叡智を実用化に結びつけて社会実装を加速させる「先端マテリアル研究開発協創機構」を立ち上げました。さまざまな課題に素材・材料の観点からアプローチし、その研究と教育の成果を用いて島根創生を目指す取り組みについて、島根大学長、材料エネルギー学部長、先端マテリアル研究開発協創機構長の3者による鼎談形式でお伝えします。まずは材料研究とはどのようなものか、その面白さを多くの人にお伝えしたく、先生方にお聞きできればと思います。で勝負できている強い分野です。また多くのハイテク技術の限界は材料に依存しているので、ハイテクのキーテクノロジーは多くが材料なのです。例えば、永久磁石はモーターや発電機の主要部品ですが、1980年に強力なNdFe降、開発が止まっています。もし、10倍強い磁石が発明できれば、1回の充電で5000キロ走れるEVも夢ではありません。また旅客機では、従来より高温高圧に耐えられる材料がジェットエンジンの性能と燃費を伸ばすので、日本で世界一の旅客機が作れる可能性があるんです。このように、爆発的なイノベーションを起こす力を、材料は秘めているのです。これまでに無い新たな機能や性能を生み出すのが材料研究です。普段の生活の中で直接には気付き難いけれど、衣食住の「住」を支える全てに材料は関わっています。水、電気、ガスなどの私たちの生活基盤に関わる社会インフラの維持にも全て金属という材料が必要で、水を浄化する、二酸化炭素を出さない、安心して宇宙に飛び出せる、そんな材料が世界中に広がれば持続可能な魅力ある世界の構築にも貢献できます。今までなかった夢のような材料をつくり、それをきっかけに世界が変わっていく。材料研究は、そういった新たな大谷 島根大学が材料研究に注力する背景として、三原 材料研究は一見地味ですが、今日本が世界中三浦 元素の繋ぎ方(結合)を上手に工夫することで、B磁石が発明されて以 三浦 英生02SHIMADAI特集 I 島根大学と島根創生先端マテリアル研究開発協創機構長島根大学 学長 大谷 浩材料エネルギー学部長三原 毅鼎談材料研究 ・人材育成で目指す島根創生

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