広報しまだい59号
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地域に根ざした国立大学で材料研究を進める理由地域産業の発展を支える世界初の取り組み夢を創造する分野であり、その夢の実現のために挑戦するのが材料研究の面白さといえますね。高性能なジェットエンジンの開発計画全体を支えるといったことが言えますね。そして部品一個一個であれば、地方の中小企業でも参入できる可能性があります。そのような可能性を実現していくことで、地方の未来に貢献できるのも材料研究の面白さですね。このような材料を通じた地域産業への貢献の仕掛けを作っていくため、材料研究とその教育・人材育成に力を入れているところです。の一つに、歴史的な側面があります。日本古来の製鉄方法である「たたら」の多くが出雲を中心とする中国地方の山地で行われており、江戸時代には鉄の7、8割がこの地でつくられ、大正時代までは世界2位の輸出産業でした。鉄のほか、石見銀山の銀も、世界の3分の1の生産量を誇っていました。このような素材産業大谷 一つひとつの材料は小さくても、その部品が大谷 島根大学で積極的に材料研究に取り組む理由は今も県の製造業の生産高の4割を占める主要産業であり、島根創生の柱として活性化していくことに貢献したいというのも目的としてありました。本海側が世界との流通の拠点であったこと、島根が交通の要所だったというところも大きいですよね。そういった背景に加え、日本の三原 もう一つ、歴史を遡ると日材料工学という分野が、世界的に強いことも知っていただきたいところです。材料は縁の下の力持ちなので、日常で意識する事はないのですが、日本の材料産業は世界で高く評価されています。世界をリードし続けるには優秀な次世代の人材が必要です。その課題を解決するのも私たちの役目です。た学科の壁をなくし、多様な視点で問題解決に向き合うことができる人材育成をしていくのも、材料エネルギー学部の大きな特徴だと思います。材料の設計から、試作評価まで仲間と協力して実現することで、一人では難しいもの創りをチームとして成功体験できる魅力もあります。基礎的な知識を持ち、周りとも繋がり、最終的には尖った分野で世界に情報発信していく若者を育てる、そういう教育改革も新しいチャレンジです。自分の道を切り拓くのは大変ですが、その壁を破りたい、自分の道を自ら拓きたいという若者が日本全国、さらには世界から島根大学に集まるようになると、大学も地域も活気づき、教育や研究の更なる発展に繋がります。島根大学が、それぞれの夢の実現に必要な知識と技術と仲間を創る場を提供することで教職員、学生がともに輝ければと考えています。切ってさまざまな分野と融合していく取り組みを進めてきました。     野を基軸にして大学、そして県が発展する。それがま三浦 従来の「工学部」にあるような専門分野を分け大谷 材料エネルギー学部では、島根大学の先陣を大谷 県の主要産業である金属を中心とした材料分広い分野で県を中心に産業を振興するミッションがあて産業をいかにつくるかを本気で考えながら研究をするというのは大変ですが、他の大学の工学部、もしくは材料系には無い特長ではないかと思っています。ず目指すべき方向であり、次世代たたら協創センター(NEXTA)が、そのきっかけを担ったと感じます。NEXTAは今年で7年目。地域全体が互いに理解し合い同じ方向を見る一助になっていると少しずつ実感してきたところです。業を振興するというミッションがあり、材料エネルギー学部もそこに卒業生を供給することを含め、よりります。県内の産業に軸足を置いて共同研究を行うと同時に、県外・国外の企業との共同研究も行い、島根県に新たな産業を興すのも大切だと考えます。こうやっ子顕微鏡があり、世界トップレベルの材料分析力(原子結合状態の可視化技術)もあります。また材料エネルギー学部が創設され、学外から優秀な先生方も集まっています。さらに、先端マテリアル研究開発協創機構という新しい組織ができたことで、材料エネルギー学部での専門人材の育成とNEXTAでの新しい材料の知識や技術の創造に加え、もの創りに不可欠な生産技術、生産加工技術の開発力を高めることで産業界との繋がりが強化されました。大学の中で三原 2018年に誕生したNEXTAには県の産三浦 NEXTAには世界に2台しかない特殊な電SHIMADAI03

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