お宝研究vol.11

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5横田　正幸（総合理工学研究科・教授）下舞　豊志（総合理工学研究科・准教授） Masayuki Yokota (Professor, Interdisciplinary Graduate School of Science and Engineering)Toyoshi Shimomai (Associate Professor, Interdisciplinary Graduate School of Science and Engineering)研究代表者：グループ紹介概　　　要特　　　色研究成果今後の展望社会実装への展望Leader : 　塗料やインク，接着剤などの乾燥・硬化を伴う工業材料に対して，触れず，壊さずに塗膜を解析，評価する技術の開発を行っています。ディジタルホログラフィを基盤として，塗膜からの反射光を分光することで塗膜内の成分を調べたり，レーダー技術を使って多層に塗った塗膜内部の解析を行う方法を研究しています。これまでの研究をベースとして企業と開発した「キュアテスタ」にこれらの技術を導入し，高機能化することで産業界の多くのニーズに対応できるようにします。　The purpose of our study is to develop the non-contact and non-destructive analyzing method for the fi lms of industrial materials such as paint, ink, adhesive, and so on which go through the process of drying and hardening. The integrated technique based on digital holography includes both spectroscopy of the refl ected light to investigate the variation of ingredients in the fi lms and frequency modulated continuous wave (FMCW) technique for monitoring the deformation of boundary surfaces in multilayer paint fi lms. We try to install these novel techniques into the developed digital holographic dryness analyzer “Cure Tester” to enhance its high functionality and answer the various needs in the industry. 【特徴と研究成果】例として，UV硬化型接着剤の塗布と同時に紫外線を照射しながら接着剤の変化を調べました。紫外線は2.76 mW/cm2の強さで，図1は接着剤の変化を示しています。接着剤塗布後2秒（0-2秒）では白黒の複雑な模様が見えますが，これは塗膜変形が激しいことを表しています。これが，30秒後になると小さく一定の色合いになり，750秒もすると模様が消えて見えなくなります。この時，接着剤の変化が無くなり，全体が固まったと判断できます。　本手法では，同時に塗膜からの紫外光の反射スペクトルを分光器で測定します。図2は塗布直後の反射スペクトルSP0sを基準とした時の，50秒から3000秒後の反射スペクトル変化をSPxs/SP0sの比で表しています。これを見ると，接着剤硬化に伴い反射スペクトルの波長386 nm付近の低下が大きくなります。位相差画像とスペクトル変化を比べると，接着剤硬化において内部の変形と化学変化との関係をより詳しく調べることができます。 【今後の展望】今後はUV接着剤やインク，塗料などの乾燥・硬化について，分光測定やレーダー技術を応用して多層に塗った塗膜の解析や，塗膜内部の変化についてより詳しく調べて行きます。最終的には，接着剤，インク，化粧品，塗料などの塗膜乾燥の総合的な開発法を確立することが狙いです。　自動車ボディ等の多層塗膜やプリンテッドエレクトロニクスの機能性インクの乾燥評価，塗膜内の対流の解析法の確立が期待できます。塗布後0－2秒塗膜30－32秒図１　位相差画像図２　反射スペクトルの変化750－752秒Development of the integrated measurement system for the analysis of drying and hardening processes統合的な乾燥・硬化解析システムの開発