お宝研究vol.11
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21研究テーマ名中井 毅尚(総合理工学研究科・准教授)岡本 滋史(総合理工学研究科・講師)内尾 祐司(医学部・教授),紫藤 治(医学部・教授)浅井 菜保子(協力研究員),飯田 奈央(協力研究員)Takahisa Nakai(Associate Professor, Interdisciplinary Graduate School of Science and Engineering)Shigefumi Okamoto(Associate Professor, Interdisciplinary Graduate School of Science and Engineering)Yuji Uchio(Professor, Faculty of Medicine)Osamu Shido(Professor, Faculty of Medicine)Naoko Asai(Collaboration researcher)Nao Iida(Collaboration researcher)センター長:グループ紹介概   要特   色研究成果今後の展望社会実装への展望Director : Repairing vacant houses in Central City of Matsue using plywood and cross-laminated timber made in Shimane 本研究の対象物件で提案した合板と新しい建築材料である直交集成板を耐力壁として用いた補強方法は,現行の建築基準法で要求される耐震性能の16%程度しか有していない物件に対して,現行法をクリアーする8倍以上の耐震性能向上をもたらし,有効な耐震補強法と言えます。ただ注意する点としては,高強度耐力壁を安易に用いると耐力壁線間距離が長くなり,水平構面の破壊を招く危険性があるため,住宅レベルでは省略されることが多い水平構面の検定を行い,建築物が剛床仮定を満たしていることを確認する必要があります。 松江市中心市街地北側におけるH26年の空き家率は約10.5%(全国平均:13.5%(H25年))となっており,年々増加傾向にあります。大きな原因は人口減少であるが,雇用が都市部に集中していることや,長寿命化による介護施設の利用増加など,様々な原因が絡み合っているのがこの問題です。今回,松江市北田町にある空き家を対象として,その活用方法を提案すると共に,それに合わせた改修(リノベーション)を実際に行うことを試みています。 The ratio of vacant house in 2014 in the northern central city of Matsue, the capital city of Shimane Prefecture, Japan, was approximately 10.5% (cf. the national average of 13.5% in 2013), and it is increasing each year. Population decrease is the main cause of the high vacancy rate, but there are other reasons which contribute to it in concert, such as the zone of employment being concentrated in urban areas, an increase in nursing home use due to longevity of the residents, and so on. Here, we propose a method for repairing and using vacant houses in Kitatamachi, Matsue, and actually try to renovate a house accordingly.[特色・研究成果・今後の展望] 対象物件は,1983年に松江市北田町に建築された(経年34年)木(W)造軸組工法の2階建ての空き家としました。登記上は木造2階建てであったが基礎の部分を1階として利用していたので,地震時に建物にかかる力を求める際は,柱と梁に鉄骨(S),基礎を壁に鉄筋コンクリート(RC)を用いたS造+RC造の1階とみなし,建物は立面混構造の3階建てとみなしました。過去に複数回リフォームが行われており,建築当時と構造的には差異がありましたが,基礎部分では構造的に変化はありませんでした。 RC製の壁およびS製の柱には耐力上,有害な劣化は認められず,性能が現在でも保たれていると思われます。またW造部分においてはシロアリや腐朽等は認められませんでしたが,一部の梁にたわみや割れが認められました。また,現場調査の結果,複数回のリフォームを経た現状では,①壁が偏心して配置されていること,②筋交いが切断されていること,③柱に欠けこみがあること,④筋交いが告示の仕様通りになっていないこと,⑤梁せいが不足している箇所があること,⑥柱頭・柱脚に必要な金物が付いていないこと,⑦基礎と土台が緊結されていないこと,の主に7点の改善点が見つかりました。 本プロジェクトセンターでは,原浩二建築設計事務所とコラボして合板と直交集成板を効率良く配したリノベーションを実現し,省エネルギー対策等級4をクリアーしつつ,耐震補強についても補強後の性能が補強前の8倍以上になり現行の建築基準法を満足することができました。なお,改修後の物件の活用方法は,1F:駐車場・駐輪場,および物置,2F:ミーティングルーム,資料保管庫,3F:コミュニティースペース,学習室,としました。改修後における物件の内観島根県産合板および直交集成板を用いた松江市中心市街地の空き家の改修Wood-Design Project Centerウッド・デザインプロジェクトセンター

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