お宝研究Vol12
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21小林 久高(学術研究院環境システム科学系総合理工学部担当・准教授)井上  亮(学術研究院環境システム科学系総合理工学部担当・助教)岡本 滋史(学術研究院環境システム科学系総合理工学部担当・講師)[~平成30年4月]Hisataka Kobayashi (Associate Professor, Academic Assembly Institute of Environmental Systems Science)Ryo Inoue (Assistant Professor, Academic Assembly Institute of Environmental Systems Science)Shigefumi Okamoto (Associate professor, Academic Assembly Institute of Environmental Systems Science)[until2018.4.30]センター長:研究者紹介概   要特   色研究成果今後の展望社会実装への展望Director :  日本における総住宅戸数は6,063万戸(2013年)ですが,これは総世帯数の1.16倍となっており,住まいが余っているのが現状です。特に地方においては空き家が増加しており,それらをいかに利活用していくのかが大きな課題となっています。 空き家の再利用に際してはリフォーム工事を行うのが一般的ですが,特に歴史的な価値をもつ古民家に関しては改修工事に多額の費用が掛かってしまいます。そこで,居住者等の素人(学生等)による自力建設を主体とすることで工事費用をおさえ,工務店等のプロとの最適な連携による分業ができる手法を検証します。 The number of Japanese housing is 60.63M and it is more than the number of households. And now, it's a big problem how to use vacant houses. When we repair a traditional house, we have to pay much money. So, we inspect the efficient way of amateur repairs. 美保関町における実在の古民家(大正時代築)を対象とし,学生が主体となった改修工事を実施することで検証作業を進めています。学生等の素人が改修案作成,工事計画,施工等の改修工事の主体となり,工務店と大学教員がサポートすることで古民家改修工事がどのように実施されていくかを検証します。素人が実施することのできる作業内容と,プロが実施すべき作業の最適なバランスを見出すのと同時に,作業を通した建築知識の習得や地域文化の理解も,セルフビルドによる古民家改修における大切な要素として位置付けています。 作業は年度ごとに段階的に進めることとしており,2017年度は2階の約半分の改修を行っています。耐震改修の検討に加えて,美保関という地域に適した利用方法やデザインの検討を行い,実際の工事としては壁補強,床補強に加えて,床下地,床仕上げ,土壁の施工を行ったほか,照明計画の検討を進めています。これらの作業にかかった時間・費用・人数等を集計し,その効率化の手法を検討します。 今後も継続して作業を実施し,建物全体の改修工事を行っていきます。さらに,この成果を活用することで,空き家となっている地域の伝統建築物を,学生やボランティアなどの協力によって公共的な建物として改修していく手法を確立し,継続的に実施してくことを目指します。 本研究においては,公共的な建物をボランティア等の協力のもとで改修していくことを前提としています。しかし,それらの手法は一般住宅や商業建築にも応用可能です。また学生の提案により新たな改修手法やデザインの方向性が示されることも期待されます。Inspection of repair method of traditional houses by selfbuild対象物件床下地の施工土壁(下塗り)の施工セルフビルドによる効率的な古民家改修手法の検証Wood-Design Project Centerウッド・デザインプロジェクトセンター

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