お宝研究Vol12
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●「EBウイルス感染胃上皮細胞の腫瘍化における      APOBEC の発現に伴うミトコンドリア機能障害に関する研究」●「腹足類の這行運動における摩擦制御メカニズムの解明」●「植物における補酵素の代謝調節機構の解明」●「小胞体 Ca2+センサーSTIM1 の機能異常は高血圧発症に関与するか?                  −Stiml ノックイン SHRSP を用いた検討−」大原 浩貴(学術研究院医学・看護学系 医学部担当 助教)23 島根大学では,若手の教員の研究を鼓舞し奨励するため,「若手教員に対する支援」制度を設け,学内公募・審査の上,優秀な提案のあった若手教員について,研究費を配分しております。若手研究者表彰は,「若手教員に対する支援」に採択された教員の中でも研究成果が特に顕著であった教員を表彰するものです。平成29年度島根大学若手研究者表彰には,以下の5つの研究テーマが選ばれましたのでご紹介します。隠岐諸島から中国山地地域を対象として,更新世(旧石器時代)の人類の資源開発行動に関するモデルを構築しました。本研究の特徴は,当時の主要な資源の1つである隠岐諸島島後(隠岐の島町)産黒曜石に着目し,島嶼環境下の原産地における人類集団の活動内容と,利用した先である消費地での分布状況とを総合的に理解するための枠組みを構築できる点にあります。 お宝研究vol.9 p25Epstein-Barrウイルス(EBV)の感染による胃がんは,胃がん全体の約10%で認められます。本研究では,ウイルス感染防御蛋白質であるAPOBECのEBV感染時の機能変化に着目し,EBV感染時の細胞内のミトコンドリアDNAに,APOBEC3ファミリーの1つであるAPOBEC3Cによって変異が導入されていることを明らかにしました。脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)は,日本で確立された代表的な高血圧疾患モデル動物です。ヒト高血圧関連疾患の新規予防・治療法の開発に寄与する知見を得るため,SHRSPがなぜ高血圧や脳卒中を自然発症するのか,その謎を解明する研究を行っています。カタツムリやナメクジなどの陸生生物やサザエ,アワビなどの水生生物を含む腹足類の動きに着目し,「腹足」と呼ばれる軟体部の筋収縮波を使って,凹凸面や垂直面などの不安定な場を這いながら安定して移動するメカニズムの解明を目指しています。●「隠岐諸島黒曜石の開発・利用からみた環日本海南西地域における人類文化の起源と展開」及川  穣(学術研究院人文社会科学系 法文学部担当 准教授)金廣 優一(学術研究院医学・看護学系 医学部担当 助教)Stiml岩本 真裕子(学術研究院理工学系 総合理工学部担当 講師)小川 貴央(学術研究院農生命科学系 生物資源科学部担当 准教授)ビタミンB群に属するリボフラビンやナイアシンの補酵素型であるFADやNAD(P)Hは,生物のあらゆる生理機能の根幹に関わる補酵素であることから,その細胞内レベルは厳密に制御する必要があります。これら補酵素の代謝調節機構の解明と,それらが植物のストレス応答を含む様々な細胞応答に及ぼす影響について解析を行っています。【島根大学若手研究者表彰】

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