お宝研究Vol12
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38鶴永 陽子(学術研究院人間科学系人間科学部担当・教授)Youko Tsurunaga (Professor, Academic Assembly Institute of Human Science)研究者紹介概   要特   色研究成果今後の展望社会実装への展望Functionality of unused parts and effective use thereof in agricultural produce 近年,地域経済の活性化や地域創生の切り札として,地域の未利用資源に注目が集まっています。当研究室では,島根県内の未利用資源を活用して,食育や産業振興につなげることを目指し研究を進めています。その中で,本研究ではサツマイモの葉と葉柄に着目しました。食育の計画や栽培活動の現状,サツマイモの茎葉の活用について,県内保育所,幼稚園の利用状況をアンケート調査するとともに抗酸化性評価を実施しました。 In recent years, attention has been paid to unused resources in the area as a trump card to activate regional economic and area development. This study aims to advance the utilization of unused resources in Shimane prefecture by our laboratory and to link it to dietary education and industrial development. We focused on the stems and leaves of the sweet potato. Using a questionnaire survey, we investigated the cultural activity, promotion of dietary education, and use of the stems and leaves of the sweet potato in kindergartens and nursery schools in Shimane Prefecture. Furthermore, a chemical analysis method was employed to examine the polyphenol contents and radical foraging activities. アンケート調査により,食育の計画や栽培活動の現状,サツマイモの茎葉の活用について,県内保育所,幼稚園への実態調査を行ったところ,栽培活動で導入されている作物は「サツマイモ」,「ナス」,「ピーマン」,「キュウリ」,「トマト」が多く,それらの作物はカレーライスなどの料理に活用されていました。サツマイモの茎葉の利用については,保育所,幼稚園の半数近くの園がすでに実施しており,きんぴらや炒め物などの料理の他に,リース,綱引き,縄跳びなど食用以外の利用法もなされていることが分かりました。8月ならびに11月に収穫した‘べにはるか’葉柄部の物性を測定したところ,11月の方が若干柔らかいことがわかりました。さらに物性評価により,調理を行うことで柔らかくできたり,歯ごたえを付与することができることも明らかになり,幼児の咀嚼力に関連付けた食育材料としても活用の幅を広げることができる可能性が示唆されました。また,葉及び葉柄部のポリフェノール含量ならびにその抗酸化性の分析を実施したところ,8月と11月収穫で差異はなく,葉柄よりも葉の抗酸化性が高いことが分かりました。一般的に抗酸化性が高いとされるブロッコリー,シュンギク,タマネギよりも数値が高く,高い抗酸化性を有した機能性食材としても有望であることが分かりました。 サツマイモの葉ならびに葉柄は食育材料として有望であり,加えて機能性食品分野への応用が期待できます。(左:葉柄のかき揚げ、中央:葉を使用した団子、右:葉を使用したマフィン)サツマイモ地上部を利用した料理サツマイモ地上部の名称農産物における未利用部位の機能性とその有効活用

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