お宝研究Vol12
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2縄手 雅彦(学術研究院理工学系総合理工学部担当・教授)伊藤 史人(学術研究院理工学系総合理工学部担当・助教)Masahiko Nawate (Professor, Academic Assembly Institute of Science and Engineering)Fumihito Ito (Assistant Professor, Academic Assembly Institute of Science and Engineering)プロジェクトリーダー:研究代表者:Project Leader : Leader : 研究者紹介概   要特   色研究成果今後の展望社会実装への展望 重度肢体不自由児・者のQOLの維持・向上のためにはコミュニケーション手段の確保が必須となりますが,限られた運動機能でも操作可能な機器操作手段として視線入力があります。安価な視線入力機器が登場し,広範囲の活用が期待されていますが,システム環境のセットアップや個人の特性に合わせた動作設定,さらにはフィードバックの少ない視線入力自体の特徴もあり,誰でも簡単に使用可能にするためには,経験と工夫が必要となります。また,慣れないうちは思うような操作ができないことから,視線入力の使用を断念してしまうこともあります。この研究では,視線入力訓練をゲーム化し,さらに成功体験を積みやすくすることで,視線入力への取り組みを容易にすることを目的としています。 It is inevitable for keeping or improving QOL of physically handicapped people to supply means for communication and one important measure is eye-gaze input. Recently eye-gaze input devices for consumers become popular, but the usage of those devices needs a little ingenuity, for example, to set up devices. As a result sometimes it seems to result in abandoning of using devices due to inefficiency of the eye-gaze imput. Therefore we recognized that it is necessary for users to train their skill for eye movement before starting character input operation which is their original target. In this study we gamify the eye movement training and introduce successive experiences through the games in order to use the eye-gaze input easier. これまで視線入力は,装置を購入すればすぐに使用できるものと思っている人が多く,いきなり文字入力を始めたところ,思うように自由に文字入力を行うことができないために,使用を断念するケースが見られました。困難の原因としては,視線入力機器や画面の配置などの角度の設定もありますが,いきなり文字入力を行ってしまうことによるストレスが関与しています。 開発したゲーム「EyeMoT-3D」は,無償公開を行っている関係で,すでに多くの方々に利用いただいていますが,より使いやすくすること,また,海外展開を積極的に行うことなどを通して,視線入力を利用する肢体不自由児・者のQOLの維持・向上に関与していく予定です。Gamification of eye-gaze input training for physically handicapped people視線入力訓練として開発したゲーム「EyeMoT-2D」そこで,まずは視線入力を利用したゲームで遊ぶことで,敷居を低くするとともに,楽しみながら訓練ができるシステムの必要性がわかってきました。そこで,これまでどのようなゲームとすれば視線入力の訓練として適切であるか,また,ユーザが楽しんで行えるか,ということを調べるために,いくつかのゲーム開発を行い,H29年度にはEyeMoT-3Dというパッケージとして公開しました。すでに1000人以上のユーザに使用していただき,視線入力の訓練を支援してきました。その成果は10月にNHK主催の日本賞コンテンツ部門の最優秀賞(経済産業大臣賞)の受賞につながりました。これからも引き続き訓練効果を高める工夫に取り組み,より良いシステムを開発していく予定です。日本賞コンテンツ部門最優秀賞の受賞の様子視線入力訓練のゲーム化Practical application of ICT for medical care, welfare and education山陰地方における医療・福祉・教育への情報技術の実践的な活用

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