島根大学お宝研究Vol.13
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ならずヘルスケア分野等への応用も期待できます。Solubletannin,theastringentcomponentinplantsuchaspersimmon,hasanaffinitytostronglybindtoprotein.Ourprojecthasfoundthataddingprotein-richingredientstoastringentpersimmonpasteinthemanufacturingofprocessedfoodsnotonlyreducespersimmonastringencybutalsoeffectivelyimprovesitstexture.Wearecurrentlyresearchingtheoptimumconditionsrequiredtomaximizetheseeffects.図 タンニン素材の添加によるパンの切断面の違い図 タンニン素材の添加による比容積(膨らみ具合)の違い◉プロジェクトリーダー 鶴永 陽子YokoTsurunaga(学術研究院人間科学系・人間科学部担当・教授)高橋 哲也TetsuyaTakahashi(学術研究院人間科学系・人間科学部担当・教授)12研究者紹介概 要カキなどの植物に含まれている可溶性タンニンは,タンパク質と強く結合する性質を有しています。当プロジェクトでの実験により,渋柿のペーストにタンパク質の多い食材を加えて加工食品を製造すると,渋柿の渋味がなくなる上に,食感を改善させる効果があることがわかりました。現在,これらの効果が最大限に発揮されるための最適条件について研究しています。特色・研究成果・今後の展望タンニンは,抗酸化性などの機能性とともに,タンパク質と強固に結合する性質を有しています。そのため,抗酸化性向上を期待してタンニン含量の高い素材を添加した小麦粉加工品を製造する場合,タンパク質ネットワークである小麦粉グルテンの形成に作用し,品質に影響を及ぼす可能性があります。そこで,平成30年度は,グルテンを積極的に利用するパンと,グルテンの形成をあまり必要としないクッキーについて,タンニン素材の添加が色調,比容積,食感などの品質に及ぼす影響を検討しました。その結果,パンではタンニン素材を添加すると比容積(膨らみ具合)が著しく低下しました(右図)。一方,クッキーは,食感を向上させる効果が認められました。タンニンを添加する食品によって,品質が向上することもあれば低下することもあり,その影響が異なることがわかりました。さらなる研究により,未利用資源であるタンニンを食品加工に活用できる技術を確立するとともに,今後はヘルスケア分野での活用方法についても検討する予定です。社会的実装への展望タンニンは,抗酸化性,抗菌性などの多くの機能性を有することから,今後,それらを解析することにより,食品開発のみタンニンの添加がパンならびにクッキーの品質に及ぼす影響Effect of addition of tannin on quality of bread and cookieタンニンの化学結合性を利用した未利用資源の有効活用Effective utilization of the unused resource using chemical bonding of tannin

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