島根大学お宝研究Vol.13
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を行うことによって高血圧や脳卒中の予防に寄与できるものと考えられます。Preventinghypertensioncanleadtothepreventionofstroke.Oneofthecausesofhypertensionisexcessivesaltintake.ComparedtoWesterncountries,Japanesepeopleconsumemoresaltintake.Inaddition,ShimaneisclassifiedasoneoftheareaswiththehighestsaltintakeamongJapan.Therefore,itisnecessarytodevelopaneffectivemethodforsaltreduction.Wefocusontheindividualdifferencesinthetasteofsalt,aimingforapplicationtothemethodofsaltreduction.Inthisstudy,weclarifiedtherelationshipbetweenindividualdifferencesinsaltytasteandtheamountofsaltintake.◉プロジェクトリーダー 磯村  実MinoruIsomura(学術研究院人間科学系・人間科学部担当・教授)Salt Reduction Project in Shimane並河  徹ToruNabika(学術研究院医学・看護学系・医学部担当・教授) 安部 孝文TakafumiAbe(学術研究院医学・看護学系・地域包括ケア教育研究センター担当・助教)13研究者紹介概 要高血圧を予防することは脳卒中の予防につながります。高血圧の原因のひとつに塩分摂取過多があります。欧米諸国と比べて日本人の塩分摂取量は多く,また島根県は日本の中でも塩分摂取量が多い地域に分類されています。これらのことから,脳卒中予防のために効果的な減塩指導法を開発する必要があります。我々は塩の味覚には個人差があることに着目し,減塩指導への応用を目指しています。本研究では塩味味覚の個人差と塩分摂取量ならびに血圧との関連を明らかにしました。特色・研究成果・今後の展望塩を染みこませた濾紙を用いて塩味の味覚調査を行いました。この濾紙を舌の上に置き塩味を感じるかどうかを答えてもらいました。0.6g/cm2から1.6g/cm2まで塩分量が異なる6種類の濾紙を用い,塩分量が少ない濾紙から順に始め,塩味を最初に感知した濾紙の塩分含浸量を塩味として感じることのできる一番薄い味,すなわち塩味の閾値としました。約1,200名について調査したところ,約980名(81.1%)の人は0.6または0.8g/cm2が塩味の閾値でした。しかし約70名(5.6%)の塩味の閾値は1.6g/cm2でした。前者と後者で1日の塩分摂取量の比較を行ったところ,前者では9.7gに対し,後者では10.3gと有意に塩分摂取量が多いことがわかりました。すなわち,塩味の閾値が上昇している人は薄味では塩味を感じにくく,より濃い味付けをしてしまうために塩分摂取量が上昇してしまうことが推測されました。また,加齢と共に塩味の閾値が上昇すること,糖尿病治療者や喫煙者も塩味の閾値が上昇することも示されました。社会的実装への展望本研究により塩味の味覚の個人差をもとにした,減塩指導法の応用が期待できます。個々の体質や病気の状態にあった減塩塩分の味覚と塩分摂取量との関連Salt taste sensitivity is associated with daily salt intakeしまね減塩プロジェクト 脳卒中予防を目指して

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