島根大学お宝研究Vol.13
31/47

Interactionbetweengeneticandenvironmentalfactorsduringprenatallifehasbeendeeplyimplicatedintheetiology/predispositionofpostnatalnon-communicablediseases(NCDs).Wepreviouslyreportedawideindividualvariationintheorgansizeinhumanfetusesofthesamebodysize.Theorgansizeafterhistogenesisisdirectlycorrelatedwiththe‘reserve’ofthetotalorganfunction,therefore,canbeapredispositionoffuturediseases,andasmallorgansizemaythusbeconsideredas‘unnoticedcongenitalanomalies’.However,verylittleisknownonthemechanismtoregulateorgansizesandbalanceamongtheorgansizes,orwhether/howtheyarerelatedwiththeactualonsetofdiseases.Weareinvestigatingthemechanismsinvolvedintheseevents.※本プロジェクトセンターは2019年3月末をもって設置期間満了により,終了しました。◉センター長      大谷  浩HirokiOtani(学術研究院医学・看護学系医学部担当・教授)◉兼任教員       橋本 龍樹RyujuHashimoto(学術研究院医学・看護学系医学部担当・教授)◉専任教員       AshiqRafiqMahmood(学術研究院医学・看護学系・戦略的研究推進センター担当・助教)◉研究協力者      八田稔久(金沢医大・教授),宇田川潤(滋賀医大・教授),籠橋有紀子(島根県立大学・准教授),◉研究者        松本暁洋・小川典子・古屋智英(医学部・助教),Project Center for Comprehensive Research on Congenital Anomalies※This center has concluded in March,2019,the expiration date.内藤 貫太KantaNaito(学術研究院理工学系・総合理工学部担当・教授)中谷陽子(島根県立大学・助教)DerejeGetachew・NusratJahan・森山 茂(医学系研究科・大学院生)(2018年4月現在)27研究者紹介概 要生活習慣病(より広くは非感染性疾患:NCD)の発症の原因や起こりやすさ(素因)に,胎生期の遺伝と環境の相互作用が深く関わることが知られています。私たちは,からだの大きさが同じ胎児でも臓器の大きさには2倍以上もの個人差があることを明らかにしました。生まれ持った臓器の大きさは臓器全体の機能の「余裕」の大きさに直結し,小さな臓器(余裕)は将来の病気の素因にもつながる,つまり生後数十年経って明らかになる「知られざる先天異常」とも考えられます。しかし,多くの臓器の大きさやお互いのバランスがどのように調節され,どのように病気の発症に関わるか,ほとんどわかっていません。私たちは,そのメカニズムを探っています。特色・研究成果・今後の展望ヒト・マウス胎児の標本を詳しく観察し,成長する臓器の大きさの関係などを数学的な方法を含めて解析しています。臓器の大きさがどのように決まるのかを調節するメカニズムや,臓器の大きさの違いが生後の病気の発症に関わるかどうかを研究してきました。平成30年度には,これまでの知見を研究の最先端の英国の大学,学会で発表し,高く評価されました。日本では出生時の体重が2,500g未満の赤ちゃん(低出生体重児)の割合が他の先進諸国と比べて多く,中でも島根県は低出生体重児の割合が全国でも高いことが報告されています。これは将来島根県でNCDが発症するリスクが高い可能性を意味します。胎児の成長に関わる最も基本的で重要な環境要因は栄養です。現在,島根県における妊娠中のお母さんたちの栄養摂取の現状を明らかにするため,島根県立大学の先生,県立中央病院の助産師さんと共同して調査研究を進めています。これらの地道な研究により,生後の疾病の起こりやすさを包括的に理解し,その予防の手立てを考えるにつながることが期待されます。社会的実装への展望これらの研究により,将来子供が病気になりにくい身体になるためのお母さんの妊娠前,妊娠中,授乳中の食事法の開発などにつながる可能性があります。また再生医療や移植医療において,バランスがとれ病気になりにくい再生・移植臓器の大きさの基準を示すことが期待できます。胎生期からの「先制医療」へ向けたからだ・臓器の成り立ちメカニズムの解明Elucidation of development of human body and organs for precision disease prevention from prenatal period 先天異常総合解析プロジェクトセンター

元のページ  ../index.html#31

このブックを見る