島根大学お宝研究Vol.13
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WeareexaminingthehistoricaldevelopmentofIzumoProvinceinanintegrativeresearchprojectthatcombinesperspectivesfromvariousdisciplines,includinghistory,archeology,andgeology.Inparticular,weareanalyzinghistoricalsourcestodiachronicallyexplorethebackgroundtoIzumo’semergenceasacohesive“region,”andtherebycreateamodeloftheancientprovince.Aspartofthistask,thisresearchisreevaluating,fromall-nationperspective,theironindustryofancientIzumo,whichwassaidtobe“ironprovince,”andisengaginginclarifyingtherealimage.WearealsoexaminingthehistoricalprocessesbywhichIzumo’ssmeltingindustryledtotheemergenceoftheearly-moderntatarafurnaceandhowitevolvedintoaleadingmetallurgicalcenterofJapan.現在は,古代・中世の製鉄炉で生産された鉄が,鉄製品の素材としてどのように利用されたのかを明らかにするため精錬鍛冶や錬鉄の検討を進めています。きます。『たたら製鉄の歴史』(歴史文化ライブラリー484)吉川弘文館(2019)◉センター長      大橋 泰夫YasuoOhasi(学術研究院人文社会科学系・法文学部担当・教授)◉研究代表者      角田 徳幸NoriyukiKakuda(島根県埋蔵文化財調査センター・調整監)Ancient Izumo Project Center29研究者紹介概 要私たちは,「出雲国」成立過程における地域圏の形成と展開に関する総合的研究を,文献史学,考古学,地質学など複眼的な方法で進めています。特に,“地域”というまとまりがどのような背景のもとに形成されたのかを歴史資料に根ざして通時的に探り,古代出雲像を再構築したいと考えています。その柱の一つとして,この研究では“鉄の国”とされる古代出雲の鉄生産を全国的な視野から捉え直し,実像を明らかにする取り組みを進めています。また,出雲の鉄生産がどのような過程を経て近世たたら製鉄に発展し,国内有数の鉄生産地へと成長したのかを研究しています。特色・研究成果・今後の展望出雲は,『出雲国風土記』の産鉄記事や近世たたら製鉄の盛行などから,古代から“鉄の国”であったとする見方があります。本研究で行った製鉄遺跡の全国集成によれば,こうしたイメージはその実態とは異なることが明らかになりました。古代の製鉄は日本列島各地で行われています。中国地方では吉備を中心に展開しており,出雲は生産地の1つにすぎませんでした。出雲が製鉄地域として発展を遂げるのは古代末から中世のことです。この段階に進められた製鉄・精錬鍛冶の技術革新や鉄流通ルートの確立が,近世たたら製鉄の盛行へと繋がったのです。研究成果は,『島根県における古代・中世製鉄遺跡の基礎的調査』として報告書にまとめ,一般向けの著書『たたら製鉄の歴史』(吉川弘文館歴史文化ライブラリー)を刊行しました。また,島根大学古代出雲フォーラムⅦでは「古代吉備の製鉄と出雲」と題し発表を行いました。社会的実装への展望本研究は,たたら製鉄で繁栄した出雲の歴史に対する関心に応え,歴史文化を核とした地域づくりに寄与することが期待でたたら製鉄成立過程の研究The Historical Development of Tatara Furnaces古代出雲プロジェクトセンター

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