島根大学お宝研究Vol.13
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00)aPM力応断んせ(10010 µm図1 アメリカミネソタ大パターソン型ガス圧試験機の写真(左)と実験アセンブリの模式図(右)図2 高歪み変形実験(せん断歪み2700%)におけるせん断応力とせん断歪みの関係図3 鉱物混合層形成の初期段階の組織薄い灰色:かんらん石濃い灰色:輝石白矢印:新しい粒子Rheological weakening due to phase mixing application for geological conditionsRheologicalweakeningassociatedwithstrainlocalizationofdeformationstronglyinfluencesthestrengthanddynamicsofthelithosphere.Toinvestigatetheprocessesthatleadtorheologicalweakeningintwo-phaserocks,weconductedtorsionexperimentsonaggregatesofiron-richolivineplusorthopyroxeneinahigh-resolution,gas-mediumapparatus.Inthisstudy,weexaminedthemechanicalbehaviorandmicrostructuraldevelopment.Theevolutionofmechanicalandmicrostructuralpropertiesprovidesaframeworkforunderstandingrheologicalweakeningandstrainlocalizationundertheupper-mantleconditions.実験値細粒鉱物混合層形成に伴う応力低下?1000せん断歪 ( γ )%2000かんらん石の多い層輝石の多い層TOPZirconia Alumina PorousaluminaBOTTOMAlumina insulation paperSample41研究者紹介田阪 美樹MikiTasaka(学術研究院環境システム科学系・総合理工学部担当・講師)概 要歪み集中帯の中心部では2種類以上の鉱物が均一に混ざった鉱物混合層が観察されます。先行研究により鉱物混合層は歪み集中帯の強度を決めると考えられていますが,これまで大歪みを伴う実験が技術的に難しかったため,「どのように細粒鉱物混合層が形成され,歪みが集中するのか?」は分かっていません。本研究は,独自の工夫に基づき大変形を伴うねじり実験を行い,鉱物混合層形成と歪み集中の過程を明らかにすることを目的として研究を進めました。特色・研究成果・今後の展望本研究では,私が以前所属していたアメリカ・ミネソタ大学のパターソン型ガス圧式変形試験機を用いたかんらん岩のねじり実験(図1)で得られた力学データと岩石組織の解析を行いました。歪み速度,歪み量の違う実験を行い,歪み集中に伴う変形メカニズムの変化を得ました。せん断歪み200%から2700%の8回のねじり実験に成功し,細粒鉱物混合層形成に伴う応力・歪速度データを得ることができました(図2)。低応力(~80MPa)・低歪み量(γ=200%)の実験からは,出発試料の粒径(~10μm)より小さく丸い粒子(<1μm)が,かんらん石と輝石それぞれの粒界に確認できました(図3の白矢印)。これは変形による応力勾配で,かんらん石中の酸化メタル(MeO)が粒界を移動する「変形に起因する物質拡散」により説明できるというモデルを提案しました。同様の組織が天然でも観察されることから,歪み集中帯形成初期の変形組織を実験から観察できたと言えます。本実験と同じメカニズムで鉱物混合層が形成されれば,天然で想定されるような遅い歪み速度(10-12~10-13s-1)と小さい応力(10MPa)でも歪み集中帯を発現できます。社会的実装への展望プレートテクトニクスは地球の火山・地震活動,造山運動を考える上で重要なモデルですが,なぜ地球でプレートテクトニクスが起き,他の地球型惑星(火星など)では起きていないのかは,未だ大きな謎です。本研究はプレートテクトニクスが始まる原因を考える上で重要な成果です。図1:アメリカミネソタ大パターソン型ガス圧試験機の写真(左)と実験アセンブリの模式図(右)鉱物混合層形成に伴う歪み集中過程の解明とその地質学的応用

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