島根大学お宝研究vol.14
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◉プロジェクトリーダー …今出 真司 Shinji Imade(学術研究院医学・看護学系・医学部担当・助教)内尾 祐司 Yuji Uchio(学術研究院医学・看護学系・医学部担当・教授) 若槻 拓也 Takuya Wakatsuki(医学部・整形外科・医科医員) 古屋  諭 Satoshi Furuya(島根県産業技術センター・研究幹) 中澤耕一郎 Koichiro Nakazawa(島根県産業技術センター・専門研究員) 須澤 敏郎 Toshiro Suzawa(帝人メディカルテクノロジー株式会社・営業部主任) 森井  敬 Hiroshi Morii(帝人メディカルテクノロジー株式会社・工場長)Degenerative changes associated with aging include bone loss and deterioration, which can lead to osteoporosis. Bone volume and strength are considerably different between healthy individuals and those with osteoporosis, in that the former is tightly packed with trabeculae, while the latter is not. Despite these differences, the process of osteosynthesis is the same for fractures of, both, healthy and osteoporotic bones. It is known that screws fixed to the fracture site sometimes loosen in osteoporotic bones, and we hypothesized that the use of uniform tools is the reason. Here, we develop an osteoporotic bone-specific osteosynthesis tool kit composed of specialized screws and drills that take into account the characteristics of osteoporotic bones. 13骨粗鬆症患者専用骨接合部材キットの開発Development of an osteosynthesis tools kit for patients with osteoporosis研究者紹介概 要年齢を重ねることで骨も劣化し骨粗鬆症を生じます。若い健常な骨と老いた骨粗鬆症の骨では骨の量や強さが全く異なり,前者はぎっしり詰まっており後者はスカスカです。例えば,リンゴとスナック菓子くらい違います。にもかかわらず,骨折治療に使用する機材は同じです。骨粗鬆症患者では固定具が緩みやすいことが知られており,私たちはこの画一的な機材に問題があると考えました。本研究では,骨粗鬆症患者の骨特性に配慮した専用のネジやドリルから構成される,「骨粗鬆症患者専用骨接合部材キット」を開発します。特色・研究成果・今後の展望本研究の特色は,骨質に配慮したこれまでにない骨接合部材キットを開発することです。骨粗鬆症とは加齢によって骨が脆くなった状態のことで,軽い衝撃でも骨折(脆弱性骨折)を生じる事があります。こうした骨折は高齢化の進行に伴い増加しており,寝たきりへの主因となっています。骨折をしっかり固定し,早期リハビリ開始で寝たきりを防止することが求められています。ところが骨粗鬆症では固定したネジが緩み易く,しばしばリハビリ開始が遅れてしまいます。なぜそのようなことが起こるのでしょう。私たちは既存の骨接合部材が骨粗鬆症に適していないのではないかと考えました。骨接合部材はネジやドリルから成り,健常者と骨粗鬆症患者で使用する機材に違いはありません。ところが両者の骨特性は全く異なります。骨粗鬆症の骨質に配慮したネジやドリルを開発すれば,ネジの緩みを防止し脆弱性骨折治療に貢献できると考えています。研究の結果,既存の骨接合部材とは一線を画す,新しいネジやドリルの開発に目途が立ちました。基礎実験段階ですが,既存品に比較し2~3割強く固定でき,かつ2倍緩み難くなっています。今後はこの結果が毎回同じであるか(再現性)を検証し,医療機器として製品化を目指します。社会的実装への展望高齢化社会を迎え脆弱性骨折の頻度は過去20年で倍増しており,特に高齢化率が34%強と全国平均を上回る島根県では,本骨折治療の改善は急務です。本研究により骨粗鬆症専用骨接合部材キットが完成すれば,即戦力としての実用が期待されます。骨折治療支援システムを応用したテーラーメイド骨粗鬆症患者用人工骨ネジの開発Development of tailored artificial bone screws for patients with osteoporosis using the osteosynthesis assistance system

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