島根大学お宝研究vol.14
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◉センター長 …………………山本 達之 Tatsuyuki Yamamoto(学術研究院農生命科学系・生物資源科学部担当・教授)◉研究代表者 …………………塚田 真也 Shinya Tsukada(学術研究院教育学系・教育学部担当・准教授)Raman Project Center for Medical and Biological Applications“Raman Project Center for Medical and Biological Applications” applies Raman spectroscopy, a powerful analytical method, to research and education in medical science and biology. We are also developing instruments and analysis methods to extract more information from Raman spectroscopy. Up to now, we established Angle-Resolved Polarized Raman Scattering Measurement System. This system enables us to obtain more information of atomic vibrations in crystals by using polarization of light. Recently, we applied multivariate curve resolution to obtain a larger amount of information more efficiently.そこで多変量曲線分解法を用いて,解析の省力化を図りました。多変量曲線分解法とは,いくつかの条件のもとで「行列(大量のラマンスペクトル)」を「行(角度依存性)」と「列(基本スペクトル)」に分解する手法です。その一例として,多変量曲線分解法を使ったチタン酸鉛の解析結果を下図に示しています。39スペクトルを含む行列が3列の基本スペクトルと3行の角度プロファイルに分解されました。通常,データの特徴を抜き出すために 39スペクトルに対して39回のフィッティング作業を行います。しかし,行と列に分解されたことで3回のフィッテング作業で済むようになりました。解析の手間を大きく減らすことができたので,これまでよりたくさんの実験を行って,角度分解偏光ラマン分光を用いた研究を様々な分野で進めていこうと思います。させることで,ラマン分光になじみのない研究者にもたくさん使ってもらえるようにしていきたいです。20「多変量曲線分解の概略図」と「チタン酸鉛の解析結果」角度分解偏光ラマン分光法の多変量曲線分解Multivariate Curve Resolution for Angle-Resolved Polarized Raman Spectroscopy研究者紹介概 要医・生物ラマンプロジェクトセンターは,「ラマン分光法」という便利な分析手法を医学や生物学の研究・教育に応用しています。その中で我々は,ラマン分光からより多くの情報を抽出するために装置や解析法の開発も行っています。これまで,光の特徴である偏光を最大限利用する「角度分解偏光ラマン分光装置」を構築しました。この装置を使うと,偏光を利用して結晶の中における原子の振動に関する情報がたくさん得られます。最近,多変量曲線分解法を活用することにより,これまでより大量の情報を効率よく得られるようになりました。特色・研究成果・今後の展望偏光板を通過した光は一方向に(電場が)振動しています。角度分解偏光ラマン分光装置はこの光の偏光面を回転させることで,今までは1つのデータしか得られなかったところで角度の違うたくさんのデータを得ています。つまり,物質の特徴をこれまで以上にたくさん引き出すことで,科学に関する様々な疑問に答えようとしています。しかし,たくさんのデータを解析する手間が大きく,限られた数の実験しかできませんでした。社会的実装への展望角度分解偏光ラマン分光装置は,本センターを通して医学・生物学での活用を目指します。装置開発と同時に解析法も発展医・生物ラマンプロジェクトセンター

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