島根大学お宝研究vol.14
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摂摂取取腸腸内内細細菌菌タタンンパパクク質質トトリリププトトフファァンン血血糖糖値値低低下下脂脂肪肪重重量量減減少少図図1. 本本研研究究結結果果のの概概略略。。腸腸イインンドドーールル酢酢酸酸◉センター長 …………………川向  誠 Makoto Kawamukai(学術研究院農生命科学系・生物資源科学部担当・教授)◉研究代表者 …………………清水 英寿 Hidehisa Shimizu(学術研究院農生命科学系・生物資源科学部担当・准教授)Project Center for Fortification of Local Specialty Food FunctionsIn recent years, high meat intake is considered to contribute to health promotion. The present study focused on indole acetic acid produced by intestinal bacteria with high meat intake and investigated its effect in rats. As a result, plasma increased glucose level during the active period was suppressed in the rats that ingested the diet mixed with indole acetic acid. Therefore, the present study suggests that indole acetic acid, an intestinal bacterial metabolite, may contribute to one of the mechanisms for preventing the development of noncommunicable diseases due to high meat intake.本研究で着目しているのは,インドール酢酸と呼ばれる化合物です。タンパク質である肉を構成するアミノ酸の一種トリプトファンは,腸内に存在する細菌によってインドール酢酸と呼ばれる化合物へと変化し,体内へと吸収されます。そこで,インドール酢酸の効果を調べることを目的に,インドール酢酸を含有させた餌をラットに摂取させたところ,活動期での血糖値低下が観察されました。この血糖値の低下とインドール酢酸の摂取量は負の相関関係にあり,さらに血糖値と脂肪重量では正の相関関係が認められました。以上から,摂取する肉量に伴い腸内で産生されるインドール酢酸量に応じて血糖値が低下し,それが脂肪重量の減少も導くことが示唆されました。26本研究結果の概略摂取タンパク質由来腸内細菌代謝産物インドール酢酸による血糖値上昇抑制効果の検証Study of suppression effect of ingested protein-derived intestinal bacterial metabolite, indole acetic acid, on plasma glucose elevation研究者紹介概 要高食肉摂取は,近年,健康増進に寄与すると考えられています。本研究では,高食肉摂取に伴って腸内細菌を介して産生されるインドール酢酸に焦点を当て,その効果についてラットを用いて調べました。結果として,インドール酢酸を混合させた餌を摂取したラットにおいて,活動期で上昇していた血糖値が抑えられていました。よって,高食肉摂取による生活習慣病の発症予防メカニズムの一つに,腸内細菌代謝産物であるインドール酢酸が寄与している可能性が示されました。特色・研究成果・今後の展望島根県は古くから良牛の産地として知られ,国牛十図(1310年・延慶3年)や駿牛絵図(1369年・応安2年)でも紹介されており,現在では,「しまね和牛」として全国的に認知されたブランド牛を生み出しています。よって,肉の摂取量増大と健康促進効果の関係性を明らかにできれば,肉の消費量と共に消費者増加による地域貢献へと繋げていける可能性があります。社会的実装への展望本研究により,高食肉摂取に伴って腸内細菌によって産生されるインドール酢酸が,活動期において,生活習慣病の発症要因となる血糖値の上昇を抑え,脂肪重量の低下を導くことが示唆されました。腸内細菌によって産生される化合物の種類は,腸内の環境に依存するため,今後,良好な腸内環境を維持できる島根県由来の食資源も見出すことで,地域への更なる貢献に繋がると期待されます。特産食品機能強化プロジェクトセンター

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