島根大学お宝研究vol.14
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◉センター長 …………………縄手 雅彦 Masahiko Nawate(学術研究院理工学系・総合理工学部担当・教授)◉研究代表者 …………………佐藤 鮎美 Ayumi Sato(学術研究院人間科学系・人間科学部担当・講師)Welfare Information Technology Project CenterThe story-telling of picture books is important in language development, but the establishment of joint attention between mother and child plays a major role in language development. In recent years, digital picture books have also appeared, and there are cases in which picture books with sound are used. At that time, how joint attention is established becomes important aspect.In the past, when measuring joint attention as research, it was necessary to take a picture of the mother and child with a video camera and analyze the gaze of multiple researchers in detail to extract where they are looking. Even if the time length of the video is only a few minutes, this work will take a few hours to analyze. Therefore, in order to reduce the burden, we are studying measuring the joint attention of the mother and child with AI using machine learning.研究として共同注意を計測する際には,従来はビデオカメラで母子を撮影し,複数の研究者がその視線を詳細に分析してどこを見ているかを抽出する作業が必要でした。この作業はわずか数分間の場面でも,解析に数時間かかる大変な作業になります。そこで,機械学習を用いたAIで母子の共同注意を計測することを研究しています。現時点では,実際に人が分析したものとの一致率は70%を超えており,かなりの精度にはなっていますが,お母さんが赤ちゃんをちらっと見たりするシーンや,赤ちゃんの顔が絵本で隠れてしまうシーンなどへの対応ができていません。身体の動きやカメラの配置などをさらに検討し,今後はより精度良く推定することで,実際の絵本読み聞かせ場面の共同注意の計測へとつなげていきたいと考えています。27母子共同注意の計測方法絵本読み聞かせ中の母子共同注意の計測Measurement of joint attention between mother and baby during picture book reading研究者紹介概 要言葉の発達において絵本の読み聞かせは重要ですが,中でも母子間で共同注意が成立することが言語発達では大きな役割を果たします。近年はデジタル絵本なども登場し,音付きの絵本を使用するケースも出てきていますが,その際に共同注意がどのように成立しているのかについても気になります。特色・研究成果・今後の展望共同注意の成立と言語の発達の関係で9か月児を対象に研究を行っています。そのくらいの月齢の赤ちゃんはいろんなことに興味津々で,撮影現場に物々しい機材を展開することは自然な読み聞かせ場面を阻害するため,計測はさりげなく行う必要があります。そのため複数の解像度が低いWebカメラを1m以上離して撮影するのですが,目を十分な分解能で検出することが困難です。そこで,顔方向を計測することでおおよその視線を推定する手法を検討しています。機械学習により作成した顔モデルを使用し,親子の顔の分離・特定をし,さらに空間内のどの方向に顔が向いているのかを推定します。社会的実装への展望母子の共同注意については多くの心理学系や教育系の研究者が取り組んでいますが,視線の推定作業に時間がかかるのが難点でした。我々の手法で精度よく視線推定ができれば,多くの研究者がより簡便に共同注意研究を行うことが可能になり,言葉の発達研究に貢献できることが期待されます。福祉情報工学プロジェクトセンター

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