島根大学お宝研究vol.14
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Legal Research of Flood InsuranceJapan is a land that is prone to flood damage such as typhoons and heavy rains. Regarding flood damage, it is important to consider how to relief the victims after disaster. Given the current luck of public support, effective use of the flood insurance seems to be an essential issue. The purpose of this research is to examine the flood insurance from a legal perspective.水害保険の普及に資することができればと思っています。34令和元年度河川基金研究成果発表会での発表「水害に関する私保険制度の現状と課題」とポスターセッションの様子研究者紹介嘉村 雄司 Yuji Kamura(学術研究院人文社会科学系・法文学部担当・准教授)概 要日本は,台風・豪雨等の水害が発生しやすい国土といえます。水害に対しては,災害前・災害中の対応方法を検討すると同時に,災害後の被災者への対応も重要な課題となります。公的支援が不十分な現状において,民間保険会社が提供する保険の有効活用は不可欠の課題と思われます。本研究は,水害に関する保険,具体的には火災保険に付された「水害の補償」の現状と課題について,法的観点から検討することを目的としています。水害に関する保険において法的問題が生じていないのか,生じているとしてそれは保険契約の解釈によって解決可能なのかなど,現在までにあまり検討されてこなかった課題について,諸外国の制度を参考に研究しています。特色・研究成果・今後の展望日本の法的研究においては,自然災害というと,「地震」が想定されることが多かったと思います。しかし,近年は,水害も重要な自然災害として認識されつつあります。水害の予防・軽減の観点からは,自助・共助・公助がありますが,保険は「自助」として位置づけることができます。自助・共助・公助の3つが適切な連携を図り,限られた資源・資金を有効に活用して最大限の効果を上げられるようにすることが重要です。本研究は,これらの中でも法的観点からの研究が最も遅れている「保険(自助)」の分野を研究対象とするものです。水害が発生したときの補償内容,水害保険の保険料などに関し,実際にどのような法的問題が起こっているのかについて,日本の裁判例や学説などを参考にして研究を行っています。また,最近は,諸外国,とくにアメリカの洪水保険制度について研究をしています。アメリカの洪水保険制度は,連邦政府が関与することによって成立しています。日本の水害保険にも政府の関与が必要ではないか,必要である場合にどのような関与が望ましいかなど,アメリカの洪水保険制度は様々な点で参考になります。社会的実装への展望水害に対して保険により対応するためには,官民連携した水害保険の普及が重要な課題となってきます。本研究を通じて,水害保険の法的研究

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