島根大学お宝研究vol.14
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Elucidation of the mechanism of ammonium toxicity in plantsMost plants use nitrate and ammonium as nitrogen sources. However, a high level of ammonium application often causes toxic symptoms to plants by unknown mechanisms. Our genetic study demonstrated that GLUTAMINE SYNTHETASE 2 causes the ammonium toxcity.が期待できます。40研究者紹介蜂谷 卓士 Takushi Hachiya(学術研究院農生命科学系・総合科学研究支援センター担当・助教)概 要ほとんどの植物は土中の硝酸イオンとアンモニウムイオンを窒素源に利用します。しかし,高濃度のアンモニウムイオンはアンモニウム毒性と呼ばれる生育阻害を引き起こします。今回我々は,シロイヌナズナのアンモニウム耐性株を単離し,その詳細な解析によって毒性メカニズムの一端を解明しました。特色・研究成果・今後の展望21世紀後半に予測されている高二酸化炭素環境では,C3植物による硝酸イオンの利用効率が大きく低下することがわかっています。一方,アンモニウムイオンの利用効率はほとんど影響を受けませんが,高濃度のアンモニウムイオンは多くの植物に原因不明の生育阻害を引き起こすことが知られています。このためアンモニウムの毒性メカニズムを解明しそれを克服することは,近未来の農業における重要な課題です。今回我々はモデル植物であるシロイヌナズナを用いて,高濃度のアンモニウムに耐性を示す株を単離し,その原因がプラスチド型グルタミン合成酵素の欠損によることを明らかにしました。グルタミン合成酵素はアンモニウムイオンのグルタミンへの同化を触媒するため,耐性株では極めて高濃度のアンモニウムが蓄積していました。このことから,アンモニウム毒性の原因は従来信じられてきたアンモニウムイオンの過剰蓄積ではなく,過剰な同化によることが示唆されました。社会的実装への展望本研究により,将来の高二酸化炭素環境で効率良く生育する作物(好アンモニウム・好二酸化炭素作物)の分子育種への応用植物のアンモニウム毒性メカニズムの解明

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