島根大学お宝研究vol.14
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A Study on Policies and Development Concerning Women’s Education in Occupied JapanThis study examines policies and development concerning women’s education in occupied Japan by focusing on Shimane prefecture. The Ministry of Education develop a plan to cultivate voluntary women’s groups for women’s education. However, because the plan makes it possible to use existing groups, it is withdrawn by the Civil Information and Education Section (CIE) and adopts the CIE policy that women’s groups should be composed entirely of volunteers. Based on the policies, Shimane Prefecture encourage to cultivate voluntary women’s groups. However, it does so by using existing women’s groups to promote women’s education. The reasons for this include the connection between the Ministry of Education and Shimane Prefecture, the social realities in rural areas and the existence of the Chugoku Civil Affairs Region. As women’s education develop in Shimane Prefecture, women gradually begin acting with voluntary consciousness.今後は,中国地方民事部の講習内容の詳細について検討したいと考えています。44島根県における婦人教育の実施体制研究者紹介中間 由紀子 Yukiko Nakama(学術研究院農生命科学系・生物資源科学部担当・助教)概 要戦後占領期における婦人教育政策の方針と展開について島根県を事例に考察しました。文部省は婦人教育のために自主的な婦人団体の育成案を作成しました。しかし,案には既存の組織の利用が含まれていました。そのため民間情報教育局(CIE)によって廃案とされ,婦人団体は有志によって作られるべきであるとするCIEの方針が採用されました。島根県は有志による婦人団体の育成を方針としますが,実際には既存の組織(婦人会)を利用して婦人教育を推進しました。対応の理由は,県と文部省との関係,中国地方民事部の存在,当時の農村の性格にありました。島根県において婦人教育が進められ,女性達は徐々に主体性を持って行動をするようになりました。特色・研究成果・今後の展望戦後,日本はGHQの占領下に置かれます。GHQは占領方針として日本の「非軍事化」,「民主化」を掲げます。GHQマッカーサー司令官は,民主化のための五大改革を幣原喜重郎首相に要求します。その一つが「婦人解放」であり,その実現のために「婦人教育」が重視され,教育の場として民主的な婦人団体をつくることが喫緊の課題とされます。占領期の婦人教育政策に関する研究,特に婦人教育を実際に担った地方自治体,地方民事部(アメリカ軍の下部組織),婦人教育の対象である地域婦人団体の関係について取り上げた論考は多くみられます。しかし,その中心は県単位の婦人会組織を考察の対象としたものです。地方自治体等の指導が女性の意識や行動にどのような影響を及ぼしたのかについて考察した研究はほとんどみられません。本研究は島根県を事例に,文化課および中国地方民事部の指導が女性に与えた影響について検討しました。その結果,中国地方民事部のマーガレット・グロースの講習が女性達の自主性を高めることに寄与したことを明らかにしました。社会的実装への展望本研究により,教育学,女性学,歴史学等の関連分野への学術的貢献が期待できます。戦後占領期における婦人教育政策の方針と展開に関する研究

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