島根大学お宝研究vol.14
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◉プロジェクトリーダー …汪  発武 Fawu Wang(学術研究院環境システム科学系・総合理工学部担当・教授)(~令和2年4月)亀井 淳志 Atsushi Kamei(学術研究院環境システム科学系・総合理工学部担当・教授)て,より有効な災害防止及び軽減が期待できます。In this project, we conduct multidisciplinary studies in the San-in region to understand natural disasters in subduction zones. Rapid and long runout landslides have been triggered by earthquake in slopes covered by volcanic ashes, which have direct relationship with subdaction zone, and the volcanic ashes are the youngest geological unit. The understanding of those landslide disasters will be of help to predict the similar disasters that will be caused by the earthquake and volcanic activities in the future.3火山灰分布地域で発生した地震時高速長距離運動地すべりの運動機構図 火山灰分布した斜面地域における地震時地すべりの発生・運動機構Landslides triggered by earthquake in volcanic ash distributing slopes研究者紹介概 要本重点研究プロジェクトでは,山陰地域をフィールドに,沈み込み帯の複雑・多様な地質を反映した自然災害の特徴を理解したうえで,災害予測・軽減技術の開発に取り組んでいます。本研究の対象である2018年北海道胆振地震によって火山灰分布している斜面で多発した高速・長距離運動地すべり,沈み込み帯の地震活動と火山活動と深く関係しており,最も若い地質帯でもあります。そこで発生した災害現象に対する理解は,将来また発生する地震,火山活動による災害現象の予測に資することが考えられます。特色・研究成果・今後の展望2018年北海道胆振東部地震は,火山性堆積物分布地域で大量な地すべりを引き起こしました。それらのほとんどは表層地すべりです。現地調査に基づいて,表層地すべりを「急斜面での並進性すべり」,「緩斜面での並進性すべり」,および「V字谷でのすべり」の3つのタイプに分類しました。それぞれの地すべりに対して,詳細断面測量および土質試験を実施した結果,すべての表層すべりは,樽前火山起源のTa-d軽石層の液状化から始まり,液状化したすべりゾーンに沿って運動しながら,液状化現象がさらに上方へ拡大したことが判明しました。このメカニズムを検証するために,Ta-d軽石層のせん断挙動と抗液状化強度特性について,一連の室内試験(基本的な物理的試験と三軸圧縮試験)をすべりゾーンから採取した土試料に対して行いました。試験結果から,中質砂Ta-d軽石MSおよび脆性的Ta-d軽石CSが他の層よりも低いせん断抵抗および抗液状化強度を有し,激しい地すべり運動の下で容易に液状化することがわかりました。Ta-d軽石の下にある1つの古土壌層は,低透水性を示し,Ta-d軽石の風化および土壌侵食を可能にし,Ta-dにおける脆性的で中質の砂の軽石層の広範な存在をもたらしました。社会的実装への展望三瓶山周辺地域は北海道胆振地域と近い地震,火山活動を有します。胆振地域の研究成果を三瓶山地域に実装することによっ山陰地域をフィールドとする沈み込み帯での自然災害の予測・軽減技術の開発Development of prediction and mitigation technologies on natural disasters in subduction zone using San-in region as a research field

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