考古学技術実習Ⅰ

考古学技術実習Ⅰ

<内容>
 「考古学実習Ⅰ」で学んだ知識・体験を基に、実際に遺跡の発掘調査に参加することで考古学調査・研究に必要な諸技術・知識を体得します。夏季休業の期間を利用して、山陰地域の遺跡発掘調査を行います。また、発掘調査によってどのような考古学的な情報を、いかにして回収し歴史研究につなげるか、その方法についても考えます。
 

<体験から学んでほしいこと>
 発掘調査の現場では予想通りの遺構、遺物が出てくるとは限りません。予想以下、予想以上の状況が生まれることがしばしばです。そのような現場でしか体験できないリアルタイムの状況変化にどのように対応するのか、自身で悩み考えて他者との対話を通して立ち向かってほしいと思います。また、この授業は同級生同士だけでなく、先輩も参加しての共同作業となります。一人でできることと他者との対話から得られること、両方の重要性を感じてください。


 <この授業の特徴>
 「発掘調査」といえば、遺物に覆いかぶさった土を少しずつ小さなハケで払いのけるようなイメージがあるかも知れません。そのような作業は発掘調査の大きな流れの中の一部分に過ぎません。器材準備から調査区の伐採・草刈りや測量、スコップを使った掘削作業、図面や写真撮影等の記録作成、最後には発掘調査地点を埋め戻すなど非常に多くの作業があります。
 考古学では、研究対象となる資料の大部分は地中に埋もれており、その獲得に多くの時間と労力を使います。また、それらの資料をただ土の中から掘り出すだけではただの「宝探し」と大きく変わりません。どのような場所(家なのか、墓なのか等)から、どのような状態(捨てられたのか、意図的に埋められたのか等)で出土しているのかを見極めて調査する必要があります。これは実際の発掘調査を通してのみ得ることのできる体験であると言えます。
 

<知識と結びつけるためには>
 
発掘調査は遺跡・遺構を破壊することで成り立っているという側面もあります。それゆえに可能な限り多くのデータを獲得できる発掘調査とするためには、明確な「目的意識」、「計画性」のある事前準備が必要となります。そのためには既存の調査や研究にも目を配り、発掘調査の過程を通して得られた学生自らの体験と知識を融合させてほしいと思います。