臨海実習II

 

臨海実習Ⅱ

<内容>
 宍道湖から中海までは国内最大の汽水域であり、両湖の間に位置する松江市は、多数の河川や水路が走る世界でも有数のウェットランドシティーです。海水と淡水が混じる汽水域は生物生産性が高く、ユニークな生態系を形成しています。本実習では、この生態系を育む「生命のゆりかご」と呼ばれる汽水域の藻場を実際に調査してもらいます。松江キャンパスから徒歩や自転車で市内の河川と城濠の調査地点に行き、水質計を使って水環境を分析し、藻場の水草を採集します。そして、採集した水草を形態で分類し、最後は顕微鏡観察による微細構造の確認で同定します。レッドデータブックに記載の危急種や宍道中海水系では未報告の種が発見されることもあります。

<体験から学んでほしいこと> 
 
本実習は、現場でのフィールドワークと実験室でのラボワークのハイブリッドスタイルです。研究とは、現場だけ実験室だけで完結するものではなく、現場から実験室へシームレスに繋いで成果が得られることを体験して下さい。また、通学路で目にする河川や水路の水の中にはSDG14-Life below waterがあることを実感し、水圏生態系を壊さないような生活を心掛けて下さい。

<この授業の特徴>
 
水の中の生物というと魚や貝がすぐ思い浮かびますが、これらの消費者を支えている生産者であり、かつ仔稚魚や貝幼生を捕食から守っている藻場は水圏生態系の要です。さらに、水圏における物質循環の要でもある藻場の水草は、地球の環境変動の影響をよりダイレクトに受ける指標生物でもあります。いつもは見過ごされがちな水草にスポットライトを当てました。

<知識と結びつけるためには>
事前に基礎的な動物生理学、動物行動学、発生学の教科書を参考にすると良いでしょう。
<知識と結びつけるためには>
 
水草は、性質や構造が陸生植物と同じような水生植物と全く異なる藻類の2タイプに大きく分かれます。藻類であるワカメや昆布には根と茎と葉の区別がないことを知っていますか?身近なものを少し知ることが知的探求のきっかけになります。