生態環境科学実習

 

生態環境科学実習

<内容>
 本実習では,生態環境科学に関連する生態系の重要な要素である水・土を科学的にとらえ評価あるいは利用する為の基礎的な知識と手法を学びます。具体的には,身近なフィールド(川や農地)での野外調査体験と室内での実験および分析データ処理を実際にとりあつかい,結果をレポートにまとめながら,得られた結果のもつ意味を考察します。
 水圏の調査では,水環境調査分析の基礎を学び,生息する生物と生態系との関係を実践的に理解します。さらに,水圏生態系における群集構造と食物網について学習し,試料分析とデータ処理の基本的手法を実践します。
 土壌調査では,環境要因と土壌の変化を観察すること,また現場で簡易にできる科学的手法を用いた土壌の分析評価を行い,それらの結果から調査した土壌環境の特徴(性質,植物の生産性,その環境で何が起きているのか等)を考察します。
 これらを通じて生態系を科学的にとらえ,分析し,評価・考察する力を実践的に養います。

<体験から学んでほしいこと> 
 生態系の保全や修復を目指すためには,自然や対象とする生物や環境を能動的にとらえる力をつけることが重要です。そのためには,何をどのようにとらえるのか,対象を具体的に科学的に把握し,表現する必要があります。実際の野外での調査や分析を体験することで,自然環境を科学的にとらえる考え方と基礎力を身に着ける,それが本実習で学生に学んでほしいことです。

<この授業の特徴>
 この授業では水環境や土壌環境といった生物の生息基盤となる自然環境の調査方法の例を実際に体験します。自然環境を対象とするような調査においては,様々な調査方法があります。機器を用いれば瞬時にデータが出る方法もありますが,環境の持つどの情報をとらえるのかは,調査する人の自然に対する洞察力がなにより重要です。そのため,本授業では,まずは実際に現地で環境を見ることを重要視しています。水環境の調査では生物が生息する場所だけでなく,その周辺環境を観察します。土壌環境では,調査者の五感による調査と観察記録,すなわち調査対象を「どのうように観察」し,「どのような特徴」を「何を基準に記述(評価)する」のか,を経験し,観察者自身で比較の基準を定めて,順位化あるいは半定量的な評価を行うことを経験します。

<知識と結びつけるためには>
 環境を大切にしたい,守りたい,よくしたい,そのような気持ちをもっていても,それが単なるイメージで終わるのでは何も解決させられません。何が,どうのような状態にあり,どのように問題なのか,どうすれば良いのか,を具体的に科学的に把握し,表現する必要があります。漠然とした「環境」の知識を,自然やそこに住む生物の特徴,土壌や水といった身近な環境として具体的に捕らえ,表現し,伝える。その実践的な力を身につけてください。