第1回島根大学ミュージアム特別講座 in 大阪「古代出雲文化へのいざない」を開催しました。

公開日 2014年10月22日

 10月18日(土)、大阪市北区西天満の島根ビルディングにて、第1回「島根大学ミュージアム特別講座 in 大阪」を開催しました。この特別講座は、来年3月8日(日)に大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で開催される「古代出雲文化フォーラムIII」のプレフォーラムになります。塩飽邦憲理事の挨拶のあと、今回は、古い時代から2本の講演を行いました。


 まず1本目は、入月俊明教授(島根大学総合理工学研究科・島根大学ミュージアム館長)から、「地質学的にみた日本海の形成~隠岐島・島根半島を中心に」という内容で講演がありました。
 約2億5000万年から3000万年前、日本列島はまだユーラシア大陸の一部でした。その後、2000万年前頃になると大陸から日本列島が分裂していきます。約1800万年から1500万年前になると、さらに分裂が進み、日本海が形成され拡大していきました。そして、約1500万年から1000万年前になると、現在の位置に日本列島の原形ができあがります。その後、約600万年前以降には、山陰の景観を特徴づける隠岐や三瓶山・大山の火山活動があったり、石見銀山の鉱床が形成されたりしました。隠岐島や島根半島において、各時代ごとにどのような地層や化石がみられるのか、多くの写真によって分かりやすく説明がなされました。
 最終氷期最盛期から完新世にかけての約2万年前以降は、海面変動によって海岸線が変化し、宍道湖・中海が形成されていいきます。人類活動の舞台となるこの時代については、来年3月のフォーラムでも改めて講演がなされる予定です。
 出雲地域では、島根大学くにびきジオパークプロジェクトセンターを中心にして、当地域の世界ジオパーク登録への取り組みが進められています。講演では、島根大学のこうした活動についても紹介がありました。
 講演のなかで紹介された岩石や化石は、実物が会場内に展示されました。受講者の方々は、見学しながら熱心に質問などをされていました。

 

 つづいて2本目は、及川 穣准教授(島根大学法文学部)から、「黒曜石とサヌカイトの利用からみた先史時代の山陰と近畿・瀬戸内」という内容で講演がありました。
 まず最初に旧石器時代とはどのような社会だったのかについて概説がありました。つづいて、山陰地域の旧石器時代や縄文時代の遺跡から見つかる隠岐島産黒曜石の利用状況についての説明があり、島根大学法文学部考古学研究室・島根大学古代出雲プロジェクトセンターが進めている隠岐島での黒曜石原産地の調査成果についても紹介がなされました。最後に、大阪の遺跡で命名された国府(こう)型ナイフ形石器という旧石器についての解説があり、その列島広範囲での分布状況から、この石器を使用した人々は、最寒冷期の環境に適応しながら、各地に移住していった集団であったと評価されました。
 講演では、隠岐島産黒曜石の石器やサヌカイトの実物が配布され、受講者が手に取って形や重みを実感していました。
 

 満員となった会場では、受講者の皆様が、大変熱心に聴講しておられました。今回の講演を通して、隠岐島や山陰地域の地質・岩石・石器文化などについて興味関心をもっていただけたと思います。これを機会にぜひ、大阪の皆様にも島根県・鳥取県に足を運んでいただければ幸いです。

 なお、本講座の開催にあたっては、島根県大阪事務所より多大なご協力をいただいております。改めて御礼申し上げます。

会場(島根ビル)

会場となった島根ビルディング(大阪市北区)

入月教授の講演

入月教授・ミュージアム館長の講演の様子

及川准教授の講演及川准教授の講演の様子

隠岐島産黒曜石を手にとる受講者

隠岐島産黒曜石を手にとって観察する受講者の方

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