第30回島根大学サイエンスカフェを開催しました

公開日 2010年08月20日

 平成22年7月23日(金)に、第30回島根大学サイエンス

カフェ「子どもの病気は治療よりも『予防』:今春から島根県

で始まった障害発生予防事業(赤ちゃんスクリーニング)の

拡大」を、医学部小児科学講座の山口清次教授を講師と

して出雲市民会館で開催しました。日本では、昭和52年

以来すべての赤ちゃんを対象に血液検査し、生まれつきの

代謝異常を症状が出る前に発見し、障害発生を防ぐ新生児

マススクリーニング事業が行われています。その中で最近

新しく開発されたタンデムマスという血液検査機器を使った

マススクリーニングのすぐれた効果と、わが国での導入

状況、課題について話されました。

山口清次 医学部教授 

 タンデムマスを導入すると、現行の4倍近い22種類もの病気を検査ができるようになり、乳幼児の突然死を起こすような病気なども未然に発見し予防できるようになります。この新たなスクリーニングを全域で実施している県は少ないのが現状です。この原因は,このタンデムマスを使ったマススクリーニング事業がまだ実験段階であり、国や自治体からの予算が付けられていないことです。それでも2009年には全国の5分の1にあたる22万人の赤ちゃんがパイロット研究に参加しました。島根県では今年4月から全国に先駆けて自治体の補助によるタンデムマススクリーニングを全域で開始しました。山口教授は、「ダンデムマススクリーニングのような障害発生予防事業は、国の基本政策としてすべての赤ちゃんを対象に実施すべきである。」と自らの見解を述べられました。

 参加者からは大変勉強になった、検査結果はどのくらいで分かるのかなどの声が聞かれた他、こうした事業を一般のお母さん方に広く周知することが必要だ、もっと多くの人に今回のお話を聞いて欲しかったなどの感想が寄せられました。

 
質疑応答の様子