島根大学ビジョン2021

 島根大学憲章、SDGs行動指針、国立大学法人ガバナンスコードに則り、本学の中期的ビジョンと目標、それを実現するための戦略とその道筋である実行計画を「島根大学ビジョン2021」として取りまとめました(令和3年3月公表)。
 なお、令和4年度からは、第4期中期目標期間(6年間)がスタートすることに伴い、島根大学ビジョン2021と第4期中期目標を一体として実施・達成するための実行計画を策定し、その実現に向けて取り組んでいます。

 

島根大学ビジョン2021及び令和5年度実行計画(PDF) ※R5.6.27更新
  (Shimane University Vision2021【English】)
目標の達成水準一覧(PDF) ※R5.6.27更新
用語解説(PDF)

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島根大学ビジョン2021
パンフレット(PDF)


 

Ⅰ.島根大学ビジョン2021の策定にあたって

 

※全文を表示させるには、タイトル(【はじめに】、【背景】)をクリックしてください。

【はじめに】  

 島根大学は、新制国立大学として昭和24年(1949年)5月に設置されてから70年余りにわたり、学問諸領域において先進的な研究成果を創出するとともに、卓越した研究力を基盤に変化する時代や地域、社会のニーズに応え、国内外において活躍する人材を育成し、社会の発展に寄与してきました。また、島根が抱える様々な地域課題に向き合い、地域創生に携われる人材育成や産学官連携、医療等に取り組みながら地域とともに発展してまいりました。現在では6学部4研究科に附属病院や附属義務教育学校を備え、留学生も含めて約6,000名の学生が学ぶ総合大学にまで成長し、島根の文化、知の創造の中核拠点として充実させてまいりました。

 国立大学は、世界最高水準の教育研究の先導、イノベーションや知の多様性の源泉となる学問的知の創造・継承・発展や全国的な高等教育の機会均等の確保などの、人類社会全体及び我が国全体の均衡ある発展への貢献という普遍的な役割とともに、その知的資源を最大限に活用した機能拡張により公共を担う経営体に転換し、全国の知的インフラのネットワーク集積機能を活かし、成長戦略の切り札となることの期待が表明されています(文部科学省「国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議(最終取りまとめ)」(令和2年(2020年)12月)等)。今日、地球温暖化や海洋汚染など世界規模の環境問題、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の進展や、持続可能な社会及びSociety5.0の構築等私たちの日常を取り巻く複雑な課題が顕在化しています。また、島根県は、人口減少、少子高齢化などの近未来の全国的課題の先進県である一方で、地域コミュニティーの魅力化・活性化の先進事例を創出した地域でもあります。

 この地にある島根大学は、上述の国立大学に課せられた役割・機能を使命と捉え、地域や世界の現状、高等教育における現代的課題を踏まえた上で、教育DXにより教育の質を転換するとともに、主体的で多様な学びを促すことにより、国際的視野を広げ、地域課題への理解を深めながら、今日の知識集約型社会を牽引し次世代を切り拓く人材の育成に努めます。そして、学術的興味・関心に動機付けられた多様な研究と、本学の強みや特色を活かした世界トップレベルの研究を推進し、新たな知の創造と多様な学術領域の継承・発展を促し、また、産学官連携事業の推進とイノベーションの創出によって社会変革の原動力となります。さらに、島根にある唯一の国立大学として、地域のステークホルダーと協働し、島根を愛し、島根と共に活きる人材を育て、地域課題に密着した研究による産学官連携等を推進するとともに、医療・福祉の充実、持続可能でインクルーシブな島根の実現に寄与してまいります。

 以上の目的を達成するために、このたび中期的ビジョンと目標、それを実現するための戦略とその道筋である実行計画を「島根大学ビジョン2021」として取りまとめました。学長のリーダーシップの下、それぞれ求められる知識、経験、能力等に基づいて適切に配置された理事、副学長、学長特別補佐を中心に全学で取り組むことにより「島根大学ビジョン2021」を達成し、教育研究の成果の最大化を図ります。また、本ビジョンと実際の取組や成果・課題等の情報については、本学の他の取組や課題とともに、島根大学統合報告書、大学ホームページや広報誌等を活用して学内外に積極的に発信してまいります。あわせて、役員会、経営協議会、教育研究評議会等の学内における経営・教学会議における審議を尊重した上で、ステークホルダーからの意見、期待等を十分聴き取りながら、透明性の高い経営に努め、多様なステークホルダーのご理解とご支援の下、本ビジョンを実践・実現することにより皆さんのご期待に応えてまいります。ご意見、ご質問等ございましたら本学までお知らせ下さい。

 これまで諸先輩方が培って下さいました良き伝統の上に、私たちが新たなページを書き加え、活き活きと光り輝く島根大学を創ってまいります。本ビジョンが多様なステークホルダーの皆様方にとりまして島根大学へのご理解の一助になれば幸いです。今後も、これまでにも増して島根大学へご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 

【背景】  

 平成18年(2006年)に制定した島根大学憲章において、「島根大学は、学術の中心として深く真理を探究し、専門の学芸を教授研究するとともに、教育・研究・医療及び社会貢献を通じて、自然と共生する豊かな社会の発展に努める。とりわけ、世界的視野を持って、平和な国際社会の発展と社会進歩のために奉仕する人材を養成することを使命とする」と謳っています。また、令和元年(2019年)には、持続可能な開発目標(SDGs)の行動指針を定め、「地方創生の推進、平和な国際社会の発展とインクルーシブな社会の実現に寄与する人づくりを通じて、SDGsの達成に向けて活動することにより、持続可能な社会の構築に貢献する」「地理的特性を生かし、自然環境の保全・継承のため、地域と強く連携し、あわせて学生のSDGs意識を高める教育に努める」ことを宣言しました。これにより、島根大学では、大学憲章を理念とし、SDGsの行動指針を大学経営の基幹に置いています。

 国立大学は平成16年(2004年)4月の法人化以降、6年ごとの中期目標期間を設け、その期間における中期目標・中期計画を各大学法人が作成し、文部科学大臣の認可を得た上でその達成に向けて取り組んでいます。現在は第3期中期目標期間中であり、令和3年度はその最終年度になります。これを受けて第3期中期目標・中期計画の実績成果等の4年目終了時評価が今年度に実施されました。また、平成28年(2016年)には、本学では、第3期中期目標・中期計画を踏まえ、本学の将来ビジョンと行動戦略を描き、進むべき方向性を明示した「島根大学未来戦略(SMART20)」を策定し、令和2年度にその進捗、成果や課題を検証し、本年2月に公表しました。

 現在、様々な会議で国立大学の在り方についての議論が行われています。文部科学省が設置した「国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議」の最終取りまとめ(令和2年12月)では、国と国立大学法人は自律的契約関係になるべきとされました。国立大学法人は、国から負託された業務を確実に遂行することに加え、多様なステークホルダーとのエンゲージメントを通じて信頼関係を深め、ステークホルダーを巻き込んだ大学経営モデルへの転換を図ることとされています。また、大学への期待や役割が拡大してきている中で、大学が教育と研究の質の向上を図り成長、発展し続けるために、大学において適切なガバナンスを構築することが重要とされ、特に、国立大学法人はそれが持つ高い公共性のため、透明性のある経営や意思決定を確保し、広くステークホルダーに説明することが重要とされています。この観点から、令和2年3月に文部科学省、内閣府及び国立大学協会により「国立大学法人ガバナンス・コード」が策定されました。

 このように国立大学の在り方に関する議論が進められている中で、第4期中期目標期間のスタートまで1年余りとなり、国が国立大学法人に負託する事業として第4期中期目標大綱(素案)が示されました。本学では、素案に基づき第4期中期目標・中期計画の策定について現在検討を進めているところです。一方、国立大学法人ガバナンス・コードの原則1-1に「国立大学法人は、ミッションを踏まえ、その実現のためのビジョン、目標及び具体的な戦略を策定すべきである。また、それらの策定に当たっては、多様な関係者の意見を聴きながら社会の要請の把握に努めるとともに、当該ビジョン、目標及び戦略を実現するための道筋を含め、公表しなければならない。」とあります。本学では、これまでの将来ビジョンやその実現に向けた諸活動、そして、第4期中期目標大綱(素案)や「島根大学未来戦略(SMART20)」の検証結果を踏まえながら、島根大学憲章、SDGs行動指針、国立大学法人ガバナンス・コードに則って、本学独自の将来構想、中期的ビジョンを描き、このたび「島根大学ビジョン2021」として取りまとめました。第4期中期目標・中期計画とともに本ビジョンを学内構成員、同窓生、保護者、地域の自治体、企業、住民等全てのステークホルダーとのエンゲージメントとして共有し、その実現に向けて全学で取り組み、島根に活きる島根大学としてますますの発展を目指します。改めまして、ステークホルダーの皆様方のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。


 令和3年3月31日       
国立大学法人島根大学
学長 服部 泰直

 

 

Ⅱ.島根大学の4つのビジョンと目標、戦略、実行計画


教育ビジョン

 
 専門分野を基盤とする知、広く世界と未来を俯瞰する視野や感性、そして社会のニーズに応えるスキルとデザイン力をもって、自ら主体的に考え、行動することにより新たな価値を創造し、持続可能で多様性に富んだ知識集約型社会を牽引する人材を育成する。 

 ●目標1.地域の総合大学として、その特性を活かした質の高い大学教育を提供する
 ●目標2.学びに向かう学生の個性や特性が活かせる多彩で柔軟な教育を提供する
 ●目標3.未来社会を先導する知のプロフェッショナルを育成する体系的な大学院教育を提供する
 ●目標4.国際感覚とコミュニケーションスキルを育成するグローバル教育を提供する

 

研究ビジョン

 
 
多様な基盤的・先進的研究や地域特性を活かした特色ある研究を推進すると共に、突出した世界トップレベルの研究領域の創出とその国際的研究拠点を形成する。また、卓越した研究力を基盤に産学官金連携による研究を強化することによりイノベーションを創出し、社会変革の原動力となる。

 ●目標1.大学における活動基盤として研究力を高める
 ●目標2.世界で尖る研究を推進する
 ●目標3.産学官金連携を推進し、研究成果を社会へ還元すると共に研究財源を確保する

 

地域・社会連携ビジョン

 
 地域と一体となった協議により地域課題を把握・共有した上で、地域社会を支える多様な人材を育成すると共に、地域産業の振興、地域課題解決に資する研究、地域の活性化・発展,地域の学校教育の水準向上に貢献するなど、島根県の知の拠点としての機能を強化する。

 ●目標1.地域と一体となって「島根に愛着を持ち島根を元気にする」人材育成・定着を強化する
 ●目標2.地域目線の貢献活動を推進・強化する
 ●目標3.地域における課題解決に資する研究を推進し、地域を活性化する

 

経営戦略ビジョン

 
 経営基盤の強化、学生・教職員が持てる力を最大限発揮できる環境の構築、社会・地域・学生からの要請に応える教育、研究、医療及び広報活動により、多様なステークホルダーからの理解と信頼を獲得すると共に、持続可能な社会の実現に貢献することにより、自律的かつ透明性の高い大学経営を実現する

 ●目標1.現代的課題を踏まえ、持続可能な社会の構築に資する教育、研究等を推進させる大学経営
 ●目標2.エンゲージメントを基盤とした大学経営への転換
 ●目標3.自律的経営の確立
 ●目標4.ニューノーマル時代に向けた体制整備

 ●目標5.コンプライアンスによる社会からの信頼の獲得
 ●目標6.積極的な広報によるブランド力の向上
 ●目標7.地域医療、先進的医療の中核としての地域の安全・安心に貢献する附属病院


 

【目標の達成水準】

 ビジョンを実現するための3年後(令和5年度末)及び6年後(令和8年度末)に本学が達成すべき目標の水準を定めました。

 ●目標の達成水準一覧(PDF) ※R5.6.27更新


 

【戦略と実行計画】

 各目標を達成するための戦略と、事業年度ごとに定める実行計画を定めました。戦略及び令和5年度実行計画については、こちらをご覧ください。
  (参考)令和3年度実行計画.pdf
      令和4年度実行計画.pdf

 

Ⅲ.目標、戦略、実行計画の検証

 

 年度ごとの実行計画の成果等を検証するとともに、目標及び戦略の進捗状況を自己評価します。また、検証結果は次年度以降の実行計画に反映させます。
【令和4年度実績の検証 及び 令和5年度実行計画】
 ●教育ビジョン.pdf
 ●研究ビジョン.pdf
 ●地域・社会連携ビジョン.pdf
 ●経営戦略ビジョン.pdf
 ●その他第4期中期計画に係る実行計画.pdf
 ●目標の達成水準一覧(令和4年度実績).pdf

  (参考)令和3年度実績の検証はこちらをご覧ください。

 

Ⅳ.関連事項


 ●島根大学憲章(平成18年制定)
 ●島根大学SDGs行動指針(令和元年制定)
 ●【平成28年度~令和2年度】島根大学未来戦略(SMART20)
 ●島根大学未来戦略(SMART20)の成果等の検証結果(令和3年2月公表)
 ●第4期中期目標・中期計画(令和4年2月文部科学大臣中期目標提示、同3月中期計画認可)
 ●国立大学法人ガバナンス・コードにかかる適合状況