利益相反

1. 利益相反マネジメントポリシー

(令和4年4月1日制定)

 島根大学は,島根大学憲章において,「特色ある地域課題に立脚した国際的水準の研究」と「地域課題の解決に向けた社会貢献活動」をともに推進することとしています。
 学外の企業及び団体と連携・協力して研究及び社会貢献活動を行う場合,その活動や成果に関して,個人の利益と大学の利益さらには公共の利益との関わりが生じてきます。島根大学が社会から信頼を得て産学官連携活動その他社会貢献活動を推進するためには,これらの活動に伴う利益が,教職員としての本来の責務や大学の社会的責任と相反し,ひいては公共の利益を損なうことのないよう,利益相反を的確にマネジメントする必要があります。
 そのため,島根大学は,
1.透明性の高い産学官連携活動を維持し,公共の利益に資する社会貢献活動を目指します。
2.産学官連携活動その他社会貢献活動において教職員が得る個人的利益を,職員としての本来の責務や活動の公共性に対して優先することがないよう,利益相反マネジメント体制を整備し,その適切な運用のもとに活動します。
3.的確な利益相反マネジメントを行うため,教職員に対して産学官連携活動その他社会貢献活動に関する必要な情報の開示を求め,必要な場合には利益相反回避のための措置をとることを求めます。この過程で収集された情報については,守秘義務を徹底します。
4.利益相反マネジメントに従って産学官連携活動その他社会貢献活動を行う教職員に対して,社会から疑義が提起された場合には,島根大学が利益相反マネジメントについての説明責任を果たします。
5.教職員が利益相反の可能性を常に意識し,適正な産学官連携活動その他社会貢献活動に努めることができるよう,利益相反に関する教育研修を行います。
6.大学組織としての利益相反マネジメント体制を整備し,その適切な運用のもとに組織的な産学官連携活動その他社会貢献活動を推進します。
 

 

2. 定義

利益相反定義

○利益相反(広義)

  利益相反(狭義)と責務相反の双方を含む概念をいいます。

 

○利益相反(狭義)

  教職員等又は本学が産学官連携活動等に伴って得る利益(特許の実施料収入,兼業報酬,未公開

  株式等)と教育・研究という本学における責任が衝突・相反している状態をいいます。

  第三者(企業)から得る利益(報酬)」が問題になる場合

 

○責務相反

  教職員等が主に兼業活動により企業等に職務遂行責任を負っており,大学における職務遂行の責任と企業等に対する

  職務遂行責任が両立し得ない状態をいいます。

   「兼業側に対して負う責任(責務)」が問題になる場合

 

例 教職員が企業の取締役や技術指導等の兼業活動を実施し,企業側(兼業側)の業務を優先したために,

  大学業務を休みがち(休講が多い等)になり,あるいは研究室に行けず学生への対応が不十分 等

 

 

3. 利益相反の考え方

個人としての利益相反

兼業報酬・株等による利益との関係

 

次のいずれかに該当するものをいいます。

 イ 教職員等の企業等から得る産学官連携活動等に係る個人的な利益が,大学における当該教職員等の責任と相反する状況にあること。

 ロ 教職員等の産学官連携活動に係る兼業先に対する責任が,大学における当該教職員等の責任と相反する状況にあること。

 

・本学の教職員は職務専念義務を負っている。

・教職員が,産学官連携活動に参加し,研究の商業化の結果,コンサルティング料,謝金,ロイヤリティ配分といった報酬を得ることは適切と考えられる。

 

しかし,教職員の大学での職務上の行為や決定が,個人の私的な金銭的利害関係を考慮してなされている場合には利益相反に該当します。

 

例① 教職員が,企業の取締役や技術顧問に就任(兼業)し,報酬を受けた場合

例② 教職員が,企業から大学の管理下にない報酬(研究費,寄付金,講演料,出張費、等)を受けた場合(報酬には,施設や設備,機器類も入る)

例③ 教職員が,ベンチャー企業などに出資し,株式(未公開株など)を保有した場合(配偶者も含む) 

 

◆利益相反を防止する対応策として

「利益相反=悪」ではなく,利益相反が起こり得る状況が多々発生するのは,日々,大学や教職員の方々が産学官連携を頑張っている証拠です。

ただし,利益相反の状況を何もせずに放置すると,下記のようなことになりかねません。

① 大学における責任が果たされていないかのように見えて,社会的信頼が損なわれる。

② 場合によっては法令違反(横領等)になるケースもある。

 

利益相反は,産学官連携を活発に実施することに伴い生じるものであり,利益相反を「取り締まる or 禁止する」対応を強硬に行うと産学官連携活動を委縮させてしまうことにもなります。

これは、島根大学のビジョンからみても望ましいことではありません。

 

 矢印

 

よって,教職員の日々の活動の中で,予め望ましくない利益相反行為をマネジメントする必要があります。

 

 

4. 学内手続き

大学における教員の責務に関連した産学官連携活動の金銭的な活動や関係は,大学に毎年及び産学官連携活動の取引時に開示しなければならないこととなっています。

  ○定期自己申告 毎年4月

  ○産学官連携活動の取引時 都度

 

利益相反マネジメント専門委員会(毎月1回開催)

  利益相反に係る審査及び回避要請を行う

 

 

5. その他留意点

大学発ベンチャーの起業

 教職員が大学発ベンチャーを起業した場合,その大学発ベンチャー企業と本学(研究者)としての産学官連携活動に対する利益相反のマネジメントが必要です。

 例えば、大学発ベンチャー企業の代表権等(社長やCEOなど)を持つ場合は,大学発ベンチャーの経営判断が個人として可能であり,大学との共同研究を実施する場合において,個人の私的な利益に繋がる可能性があります。

 

対応方法として

① ベンチャー企業を軌道に乗せるための経営努力が必要ですが,教職員の立場の責務違反に注意するため、活動時間の明確化,活動場所(研究室は使わない)や使用するPCを区別することが必要です。

② 私的な利益には注意が必要です。特に,保有株式や実施料,役員報酬や株式のキャピタルゲインは,大学に申請して見える化しておく必要があります。(配偶者も同様)

③ 代表権を持つことで,経営判断が可能となります。できれば代表権は持たずに,技術顧問等として大学発ベンチャー企業の経営にかかわることが利益相反を避けるために必要です。

④ 代表権を持つ必要がある場合は,自身も含めて代表権者を複数名とし,大学との契約(共同研究など)の決定には関わらないようにすることが必要です。

 

 

利益相反マネジメント規程[PDF:288KB]

利益相反マニュアル,利益相反フロー(学内限定)はこちら