第35回島根大学サイエンスカフェを開催しました

公開日 2011年07月27日

平成23年6月28日(火),くにびきメッセにおいて、第35回島根大学サイエンスカフェ「『こころの病に漢方薬』を科学する!」を医学部精神医学講座の宮岡 剛准教授を講師に迎えて開催し,一般市民ら約80名が参加しコーヒーを飲みながらリラックスした雰囲気の中で話に聞き入りました。

  はじめに,宮岡准教授は統合失調症と呼ばれるこころの病について,約25%にあたる患者は薬を服用しても症状が改善されない治療抵抗性の統合失調症であり,薬の多剤大量摂取や副作用によって患者のQOLが著しく低下してしまうなど現状の薬物治療法の限界を指摘しました。また,患者の顔を診たり体に触れることなくごく短時間で診察を終えるなど日本の医療の現状にも追及し,医療従事者による診療内容の貧困化,患者とのコミュニケーション不足といった問題を指摘しました。

  漢方医学における診療は四診(望診・聞診・問診・切診)と呼ばれ,患者の病状を顔色から声,舌,脈,お腹まで全身的に診て判断します。宮岡准教授は,「漢方医学の丁寧に患者と向き合う姿勢は医療従事者にとって学ぶことが多い。」とし,今後の医療として西洋医学に漢方医学を取り入れた「統合医療」に期待を込め,日本でも漢方医学講座を置く医学大学が少しずつ増えている現状と,自身の研究において抑肝散という漢方薬を治療抵抗性統合失調症の患者に投与した結果,症状がやわらぎ有効性を示したことを紹介しました。

  質疑応答では,抑肝散など漢方薬について,どこで手に入るのか,副作用はないのかなどの質問が相次ぎました。

 

  講演会の様子