サイエンスカフェ「私たちの生活と石油」を開催しました

公開日 2011年09月30日

平成23年8月29日(月),松江テルサで第37回島根大学サイエンスカフェを開催し,一般市民ら32名が参加しました。今回は,総合理工学部の 久保田 岳志 准教授が「私たちの生活と石油~エネルギーと化学製品~」と題して,石油とは何か,輸入後どのような処理を経て燃料や化学製品となるのかといった,私たちの生活に身近な石油の基礎を分かりやすく解説しました。

 石油は,様々な炭化水素を主成分とする混合物で,含まれる炭素数の違いによって天然ガス,プロパンガス,ナフサ(石油化学原料),ガソリンなどの成分に分けられます。久保田准教授は,各成分の沸点の違いを利用した「蒸留」,微量に含まれる硫黄などの有害物の除去,他の成分へ変換する脱硫処理方法など,石油の精製処理と様々な化学製品の生産過程について話しました。参加者たちは,普段なかなか目にすることの少ない石油を構成する成分のサンプルを見ながら,熱心に話に聞き入っていました。

 また,講演の後半では,将来の石油資源の需要と埋蔵量の話題を取り上げ,数十年前までの石油の可採年数が現在に至っても変化しないのは,新しい油田の発見や採掘技術の発達によって可採埋蔵量が増えるためであり,石油の消費量と可採埋蔵量の増加量が釣り合っていれば,可採年数は年が経っても変化しないことを説明しました。久保田准教授は,世界的に天然ガス・石油,石炭等1次エネルギーの消費量はこの100年間で18倍になっていることにも触れ,持続可能な発展のためには省エネルギー化,新エネルギーの利用が不可欠であり,石油を節約しながら使っていくことが必要であると述べました。

 

久保田准教授と会場の様子 石油を構成する成分のサンプル