第42回島根大学サイエンスカフェ「ベビーパウダーで発光ダイオードやがん検診!」を開催しました

公開日 2012年08月09日

 平成24年7月24日(火),くにびきメッセにおいて第42回島根大学サイエンスカフェ「ベビーパウダーで発光ダイオードやがん検診!」を開催し,一般市民64名の参加がありました。講師の藤田 恭久 教授(総合理工学研究科)はベビーパウダーの成分である酸化亜鉛を使った蛍光灯よりも安い発光ダイオード(LED)の照明装置の開発や,酸化亜鉛ナノ粒子を使ったがんの早期診断について紹介しました。

 

 最近注目されている発光ダイオード(LED)は,白熱球や蛍光灯と比べ,電力あたりの明るさの効率が高く電気代も安い反面,明るさに対する値段は圧倒的に高くなっています。 これは,発光ダイオードにサファイア,窒化ガリウムなどの高価な単結晶基板と単結晶薄膜が用いられているためです。藤田教授は,「低コスト化が白色LEDの一般照明装置としての普及につながる。」として,自身の研究で作製した「(窒素ドープ)酸化亜鉛ナノ粒子」を使って開発した安全安価な「酸化亜鉛ナノ粒子塗布型紫外線発光ダイオード」を紹介し,酸化亜鉛は安価で近紫外~青色発光が可能な半導体材料であること,開発した発光ダイオードはガラス基板上に酸化亜鉛ナノ粒子を塗布する構造であるため高価な単結晶基板が不要で,低コスト固体照明装置の実現が期待できることなど映像を交えて丁寧に解説が行われました。

 また,開発した酸化亜鉛ナノ粒子を使ったがんの早期診断については,がん細胞に抗体を介して酸化亜鉛ナノ粒子を付けて光を照射し蛍光観察する方法を紹介し,更にはハイドロジェルなど身近で簡単に作製できる医療技術など本学の取組についても紹介しました。

 

 難しい内容もありましたが,講演中,藤田研究室の学生たちが創作した,「ワン君を探せ!」というがん細胞の発見に関連付けた映像が流されると,会場は和やかな雰囲気になり,また,質疑応答では,参加者から「市販のベビーパウダーでも発光ダイオードの材料になるのか。」,「実際に製品になるのはいつ頃になるのか。」などの質問が多くありました。

 

           白熱球,蛍光灯,発光ダイオード(LED)の比較 

                   【白熱球,蛍光灯,発光ダイオード(LED)の比較】  

                                          (藤田 恭久 教授(右)と研究室の学生)

 

           講演の様子