サイエンスカフェ「ソーシャル・キャピタル入門」を開催しました

公開日 2012年12月18日

平成24年11月5日(月),くにびきメッセにおいて第46回島根大学サイエンスカフェ「ソーシャル・キャピタル入門-人と人とのつながりの力を考える-」を開催し,一般市民ら57名の参加がありました。

講師の赤沢 克洋 准教授(生物資源科学部)は,ソーシャル・キャピタル(SC)とは,「人と人とのつながりから生まれる社会や組織の力,あるいはその要素」であり,例えば,信頼感,互酬,仲間意識,規範などのSCが豊かな地域の方が犯罪が起きにくいという検証結果に表れているように,SCが個人の行動促進や組織潤滑を促すことによって,組織あるいは属する人々の健康,治安,教育,コミュニティ,市民活動などに良い効果をもたらすことを説明しました。また,単に「信頼」,「規範」といっても,家族への厚い信頼・よく知らない人への薄い信頼,強い拘束性をもつ明確なルール・拘束力の緩やかな暗黙のルールなどのように,SCは様々な質的側面を持つことを説明しました。

 さらに赤沢准教授は,SCの負の効果についても取り上げました。例えば,強力なつながりをもつSCは,強い結束による高い活動水準が得られる半面,個人の自由の阻害,能動的活動の停滞,組織内での孤立,他組織との対立などを生む危険性をもつなど,SCの効果はその性質や組織によって正負の効果を持つとし,「組織によってどのようなSCを醸成し,維持していくのかはケースバイケースで,悩ましく興味深い問題だ。」と述べました。最後に,「SCは集落活性化に貢献するのか。」という自身の研究結果を紹介し,様々なSCが関連しあいながら集落活性化につながっていく検証結果を解説しました。

 質疑では,「Iターンしてきたが,どうしたら皆さんと仲良くできるのか。」,「知らない方にも挨拶をする地域があり,自然と横に繋がりができていることに感心した。」など,身近な人とのつながりについての思いや質問を頂きました。

 

          赤沢准教授と講演の様子

                         赤沢准教授と講演の様子