サイエンスカフェ「地域資源循環型社会を目指して」を開催しました

公開日 2012年12月28日

平成24年12月7日(金),松江テルサにおいて第47回島根大学サイエンスカフェ「地域資源循環型社会を目指して-廃棄物・産業副産物の資源化と産業振興-」を開催し,一般市民ら49名の参加がありました。

  講師の野中 資博 教授(生物資源科学部)は,現在の日本が有する資源の落ち込みは戦後の大量消費社会のツケであるとし,持続可能な循環型社会のためには廃棄物の発生抑制をはじめ,カスケード利用(資源を1回だけでなく何回もリサイクルして使うこと)など廃棄物を資源として適正に利用する必要性があることを話しました。

  また,建設リサイクルを話題に,アスファルト,コンクリートのリサイクル率は98%と高いが路盤材として1回利用されるだけでカスケード利用になっていないという問題点を指摘し,廃棄物を再資源化する際は材料としての性能評価やリサイクルコスト,CO₂排出量も考慮したLCC(ライフサイクルアセスメント)評価などの全体的な視点や,環境保全に役立つものを予め考えた性能設計が必要であることを説きました。

 後半では,野中教授自身も企業と共同で開発に携わった廃コンクリートを活用した宍道湖・中海の水質浄化のための水環境修復資材の開発事例を挙げ,水中の栄養分を吸収させるために植えたヨシの生長を守りリンを吸着する機能をもつ植栽基盤材や藻礁ブロック,石州瓦を使った機能性覆砂材などを紹介しました。さらに,下水汚泥の減容化を目指して県内の産官学で共同開発した余剰汚泥発酵分解処理装置や,既に商品化されている「炭八」など県内の事例を紹介し,廃棄物の利活用が産業振興へつながる可能性について話しました。

 質疑応答では,参加者から宍道湖・中海の水質浄化に関する質問のほか,「循環型社会実現のために私たちはどうしたらいいのか。」など様々な意見を頂きました。

 

            野中教授と講演の様子

                            野中教授と講演の様子

 

            余剰汚泥発酵分解処理に関するサンプル

                余剰汚泥発酵分解処理で使用される担体としての杉チップ(右),

           菌体肥料となる発酵分解残渣(中)とそれをペレット化したもの(左)などのサンプル