サイエンスカフェ「今、宍道湖の水草はどうなっているのか?」を開催しました

公開日 2014年08月04日

 平成26年7月25日(金)、松江テルサにおいて第54回島根大学サイエンスカフェ「今、宍道湖の水草はどうなっているのか?-絶滅が危惧される水草と大繁茂する水草-」を開催し、講師の國井 秀伸 教授(研究機構汽水域研究センター)が水草の基礎知識、宍道湖における突発的な水草オオササエビモの繁茂の現状とその原因を話題に講演しました。一般市民など56人が参加し、身近な宍道湖の環境について認識を深めました。

 最初に、國井教授は水草の特徴として、一度陸上に出て生活していた植物が何らかの原因で再び水中生活に戻った植物であること、維管束が発達し葉・茎・根の区別があり体制的に陸上植物と変わりないこと、地下茎や根を土壌中に伸ばして砂地や砂泥地に定着していること、水中での劣悪な光環境、酸素の少ない環境に適応した形態的特徴を持ち、水深の浅い沿岸帯に生えることなどを紹介しました。

 宍道湖湖岸での水草オオササエビモの繁茂は200910月に確認されています。國井教授は、宍道湖岸の航空写真や水中写真を提示し、水草の増殖の経過や地下に張った根の様子、水草繁茂のメリット、デメリットについて解説しました。また、水草繁茂の原因として、20067月の洪水がきっかけとなり、水深の浅い沿岸部において植物プランクトン優占の系から水草優占の系に変化したのではないか(レジームシフトと呼ばれる現象)と解説しました。その一方で、実際の宍道湖湖心の水の透明度は悪化傾向にあるという調査結果を受けて、國井教授は「透明度は場所によってバラツキがあり、水深の深い湖心だけでなく浅い湖岸の水質も調査する必要がある」として、クロロフィル量などを湖心と湖岸で比較調査する必要があると述べられました。

 参加者からは、「水草の繁茂は宍道湖にとっていいのか、悪いのか。」など時間いっぱい質問や意見が出されました。

 

       会場写真    

                                        國井秀伸 教授と会場の様子 

       水草写真       

       (左から)剣先川から採集されたオオササエビモ、ツツイトモ、コアマモ