総合科学研究支援センター 蜂谷卓士助教らの研究グループが 植物のアンモニウム毒性の原因を解明しました

公開日 2021年08月30日

▼本研究のポイント

・植物の生育を阻害する「アンモニウム毒性」が起きる原因を解明

・大気のCO₂濃度が高い環境においても健全に生育する作物の開発への応用が期待される

・論文は,社会的にインパクトのある英国科学誌「Nature Communications」オンライン版で公開

 

▼本研究の概要

 植物の多くは,成長するために根から硝酸塩とアンモニウム塩を吸収し,窒素栄養源として利用します。(窒素は植物の茎や葉の生育に欠かせない栄養成分で,市販の肥料にも配合される)

 しかし最近の研究から,大気の二酸化炭素濃度が上昇すると,植物自体の硝酸塩の利用効率が低下することがわかっています。

 このため,窒素栄養源としてアンモニウム塩が注目されていますが,高濃度のアンモニウム塩を与えると,逆に植物の成長を阻害することがあります。この現象は「アンモニウム毒性」と呼ばれ,原因は未解明でした。

 

 本研究では,「アンモニウム毒性」が植物の葉緑体に存在するグルタミン合成酵素(GS2)の働きによって起こることを発見しました。GS2によって過剰量のアンモニウムが急速にグルタミンに変換されると,細胞内に多量の酸が生じ,植物がダメージを受けることがわかりました。

 本研究成果により,高濃度のアンモニウム塩を与えた状況でも健全に生育する作物の開発への応用が期待されます。

 

 本研究には,島根大学総合科学研究支援センターの蜂谷 卓士 助教と中川 強 教授,名古屋大学,埼玉大学,理化学研究所らが参加しており,蜂谷助教が筆頭・責任著者となった論文が2021年8月16日付英国科学誌「Nature Communications」オンライン版で公開されました。

 

▼詳細はこちら

【島根大学】 総合科学研究支援センター 蜂谷助教 [PDF:1.51MB]