総合理工学部の笹井亮教授が参加する研究グループが、粘土鉱物をつかったカフェイン除去の機構を明らかにしました

公開日 2021年08月31日

 島根大学総合理工学部の笹井亮教授が参加する研究グループ(信州大学,公益財団法人高輝度光科学研究センター,広島大学,島根大学,Vidyasirimedhi Institute of Science and Technology)が、層状の粘土鉱物が水に溶解する有機物を効率よく吸着する現象について、カフェインをモデル物質として調査し、その機構を明らかにしました。
 粘土鉱物の一つであるスメクタイトの層間は、様々な分子が取り込む(以降、ここでは便宜上吸着と呼びます)ことのできる小さな空間があります。表面積が大きいために、例えば水中の有害物質を除去できる吸着材応用に適します。この現象の実用例は、緑茶からカフェインを除去する技術です。水中の様々な物質を吸着することで知られる粘土物質ですが、多量な水が共存している状況での吸着機構は複雑であるために、基礎的な理解が進んでいません。
 本研究では、粘土鉱物(スメクタイト)が水中のカフェインを効率よく吸着するという現象に着目し、放射光X線回折によって層間を精密に直接計測することで、水中でのカフェインの吸着過程を追跡しました。すると、水中にカフェインを添加すると、添加前に存在していた水分子の小さなかたまりが徐々に解けていき、カフェイン分子が水分子と入れ替わるように吸着される、という様子をとらえることができました。この水分子がカフェイン分子の吸着を促進しているようにも考えることができます。
 このように、吸着過程での活性物質を理解することで、カフェイン以外の様々な水中有機物を効率的かつ多量に吸着し、回収できる技術の開発方針が得られ、環境浄化や食品の品質向上などに大きく貢献することが期待されます。

本研究成果は、2021年8月24日公開のLangmuir誌(米国化学会)に掲載されました。

新しいシステムにより明らかになった粘土層間へのカフェイン吸着のモデル図

 

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