公開日 2022年06月17日
6月11日(土)、第128回アシカル講座「島根県にも津波はやって来る!山陰地域の津波の履歴」を開催しました。この講座は、令和4年度アシカル講座第1ステージ「学びあれば憂いなし!山陰の自然災害」の第1弾になります。
今回は、酒井哲弥 本学総合理工学部教授・自然災害軽減教育研究センター長が、山陰で確認されている過去の津波について解説をしました。
まず、津波とは何か?何が原因で起こるのかについて説明がありました。津波とは、風や潮汐などの通常の波とは異なり、突発的な自然現象が原因となって引き起こされる、周期の長い波のことを言います。地震による水底の急激な隆起や沈降、火山噴火、水底の地すべり、陸上の地すべりによる土塊の海・湖への流入など様々な原因があります。また津波は、大洋では新幹線並みのスピードで進みますが、陸地に近づくと速度が落ちる一方、波の高さが高くなります。陸地付近では、それでもオリンピック100m選手並のスピードでやって来ますので、早めの避難が大切になってきます。
山陰では、過去に1026年の万寿地震、1833年の山形県庄内沖地震、1983年の日本海中部地震、1993年の北海道南西沖地震などによって、最大約3mの津波が襲来してきたようです。また、酒井先生らによる地中に残された堆積物の分析から、数千年前の津波の痕跡もあるそうです。
津波は、1mの高さでも飲み込まれると死者が出ます。また、津波の原因は火山噴火や海底地すべりなどもあるので、地震由来の津波危険地だけを想定したハザードマップが100%正しいとはかぎらないようです。日頃から避難先の確認をしておき、いざという時は早めの避難が必要なようです。
会場からは、「島根半島沖の活断層F55・F57がずれた際、どの程度の津波を引き起こすのか?」「太平洋側で大地震が起こった際、日本海側にも津波が来るのか?」「宍道湖にも津波が入ってくるのか?」など、多くの質問があり、津波に対する関心の高さがうかがえました。
次回のアシカル講座は、第129回「これからの川とのお付き合い 〜正しく知り、正しく恐れる〜」【7/9】です。ひきつづきご期待ください。
お問合せ先 島根大学総合博物館 TEL:0852-32-6496