第5回出雲文化学「出雲『神在祭』にみる祭祀の古層~奉仕する者の立場から~」の講演がありました

公開日 2014年05月21日

 出雲文化学第5回講義が5月16日、本学ホールで行われ、島根県神社庁参事で万九千神社宮司の錦田剛志氏が「出雲『神在祭』にみる祭祀の古層~奉仕する者の立場から~」と題して講演を行いました。錦田講師は神事や信仰について、深い専門知識を踏まえつつも時には軽妙に語り、ホールが笑いに包まれることも多々ありました。市民パスポート会員46人を含む257人が受講しました。
 錦田氏は、出雲地方で旧暦10月を神在月と呼ぶのは全国の神々が出雲に集まって会議し、直会(なおらい)するからだとし、出雲の神在祭について概説しました。また、出雲大社、佐太神社、万九千神社の神事を含む収録動画で自身の秘祭事の経験を紹介しました。加えて、神在祭の間は鳴り物・歌舞音曲を慎むという厳重な物忌みの期間であり、地域住民からは「お忌みさん」と呼ばれていることを説明しました。
 神在祭の歴史について関係社以外の記録を引き、中央の都でも神々が出雲に集うことが認識されていたことを示しました。なぜ出雲に神々が集まるのか、という問いには4つの説があり、自身は出雲の国譲り神話で大国主が目に見えない世界=神事(かくれたること)を治めることになったため、神々の首都である出雲に集まるのだという説を支持するとしました。
 錦田氏は、神が去来するものだという認識から、拝殿などではなく神名火(カンナビ)山などで神事が行われることなどから、もともと神名火山が神在祭にとって重要であって、全国の神々が集うということが付け加えられていったのではないかという考えを提示しました。
 出雲文化学第6回講義は5月23日、島根古代文化センター専門研究員の平石充氏が「『出雲国風土記』と古代の出雲」と題して講義します。 

 

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