公開日 2014年06月23日
第10回出雲文化学は6月20日、本学ホールで行われ、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)のひ孫である島根県立大学短期大学部の小泉凡教授が「小泉八雲がみた出雲文化」と題して講義しました。市民パスポート会員41人を含む247人が受講しました。
小泉八雲はアイルランド人で、作家、文学者、教師、ジャーナリスト、民俗学者であり、松江では「へるん先生」と呼ばれ親しまれており、今年が没後110年となると紹介。八雲の生まれたギリシャや育ったアイルランドなど写真を見せながらその足取りを追いました。
八雲は「古事記」についてギリシャ神話などとの比較、そのうえで感銘を受けたと記しているとし、「古事記」の中に出てくる出雲神話を読んで出雲大社を三度訪れ、当事出雲大社宮司だった81代国造の千家尊紀氏と公私にわたって親交を深めたことを紹介しました。
八雲は日本の神話や神道などを、出身地ギリシャと共通するシャーマニズムや幼い頃に親しんだケルトのアニミズムを手がかりとして、当時のヨーロッパで一般的だった表面的な見方による批判ではなく、信仰の現場を体験することによって日本人の奥深くを流れる魂の発露であるとしたと説明しました。八雲のこのような姿勢が教え子・高木敏雄が比較神話学の草分けとなったひとつの要因なのでは、と系譜を示しました。
八雲は信仰の資料として日本の護符を集めており、それらはイギリス・オックスフォード博物館に寄贈した話を挟んで小泉教授は、創造的地域社会や持続可能な共生社会の実現を目指す取組みにおいて八雲が人的資源として活用されてきているとまとめました。
出雲文化学第11回講義は6月27日、本学教育学部の長谷川博史教授が「16世紀の日本列島と出雲尼子氏」と題して講義します。