第11回「島根学」島根には本物が在る

公開日 2015年01月13日

 島根学の第11回講義が12月19日、本学ホールで行なわれ、映画監督の錦織良成氏が「島根には本物が在る」と題して講義しました。市民パスポート会員27人を含む241人が受講しました。
 錦織監督は「白い船」や「渾身 KON-SHIN」製作に関するエピソードなどから「島根には何もないと思っていた。そこに自分の既成概念があった。島根には何もないのではなく、宝の山だった。」と話し、既成概念やイノベーション、地域活性化など幅広い分野にわたって講義しました。
 錦織監督は、日本の映画業界は東京に一極集中しており、洋画といってもアメリカ映画だけで、フランスではアルゼンチン映画もインド映画も上映されている、と紹介し、「映画とはこういうものだ」と思っていると非常に危険であり、新機軸を立てる歩みを鈍化させてしまうと語りました。何か新しいものを作っていくときには専門知識は既成概念としてむしろ邪魔になるかもしれない、皆がそうでないと思っているところにイノベーションは起きる、とも話しました。
 日本では経済を基準に動き、誰かがお金を出して宣伝したものがメジャーになる、とし、島根県の観光予算は10億円で、毎年宣伝しているのに関東では島根がどこにあるかすら知らない人が多い、情報がゼロなのは宣伝が悪いのではなくキャパシティが少ないことで優先されないのだ、と説明しました。
 地域活性化については「活性化という言葉が独り歩きしているのではないか」と疑問を呈し、経済的なことを活性化と言っているのだろうが、安全や環境という物差しで測ると東京は下のほうに来る、と見方の転換させることの大切さを強調しました。その視点から、地方から東京や大阪に向けて「もっと活性化しなきゃ」と言っていいはずではないか、それができないのは「都会のほうが良い」という既成概念のせいだ、と話しました。
 地域活性化は都会化することではない。都会の商業は"虚業"であることが3・11のときに露呈した、としました。島根には京都が新しいといえるほどの歴史があり、東京の高級料亭で何万円出しても食べられない食材があり、美しく豊かな自然がある。しかし、それが財産であることを子供のころから教わらなかった。他県の人から教えてもらって自分の既成概念が崩れ、島根には「本物」があることが分かった、と強調しました。
 錦織監督は「出雲は、歴史の授業では教わらない世界に通用するポテンシャルを持っている。ぜひ勉強して新しいイノベーションを起こしてください」と締めくくりました。
 次回の第12回島根学は年明け1月9日、音楽家の浜田真理子氏が「音楽と人と島根のこと」と題して講義します。

 

講義をする錦織良成氏 
 講義の様子

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